格安SIMは市場競争を活性化させる! IIJ勉強会で分かったMVNOの仕組みと背景

書いた人: モバレコ編集部

カテゴリ: SIMカード

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格安SIMMVNOという言葉をどのくらいの方がご存知なのでしょうか?
最近よく見聞きする言葉ですが、内容をきちんと理解している人はほとんどいないのではないでしょうか?
そんな中、格安SIMサービスを提供している株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)が記者勉強会を開催していたので参加してきました。
格安SIMの基礎的な話から今後の課題まで充実の講義を受けることができたので、その模様をお伝えしていきたいと思います。

目次:

MVNOの認知度は前年度より20%UPしている

今回、勉強会で登壇されたのはIIJ ネットワーク本部技術企画室の佐々木太志さんと、IIJ マーケティング本部プロモーション部コンシューママーケティング課長の今井健さんです。

佐々木太志氏
佐々木太志氏
今井健
今井健氏

2015年4月に公表された総務省の結果によるとMVNOの認知度は69.5%という結果が出ていると、今井さんは説明してくました。
この数字は前年と比べると20ポイントもアップしているいうことです。最近MVNOの存在が広く知れわたりはじめているといえるでしょう。
つづいてIIJが2015年3月にユーザー5,000人対しておこなったアンケート結果をまとめていますので下の写真をご覧ください。

IIJによる認知度調査
IIJによる認知度調査

「詳しく知っている人」は9.4%にとどまり、「多少知っている」「名前を聞いたことがある程度」がほとんどという結果となっています。
一般の方に存在認知が急に進んだ背景には、これまで自社WebサイトでのSIM契約が主だったのが、ここ最近、家電量販店などの店舗販売や格安SIMについての本の発売が増えたからではないかと今井さんは話します。

右側の円グラフを見ると、「買う予定がある」と答えた人が17.1%、「そのうち検討したい」という人が41.2%と興味・関心を抱いている人が多いこともこの調査で分かりました。
需要傾向は見られますが、格安SIMのサービスはまだまだ浸透していないとも言えるでしょう。格安SIMとはどういう運営されているのか、その仕組みが理解されていなくて逆にその安さに不安を覚えるユーザーも多いかもしれません。

MVNOとは、MNOの回線を借りている通信サービス

格安SIMサービスを提供しているIIJと、ドコモ・au・ソフトバンクなど大手3キャリアは、通信サービスを提供している会社ですが大きく違う点があります。つづいてはネットワーク本部技術企画室の佐々木さんが詳しく説明してくれました。

利用者とMVNOとMNOの関係
利用者とMVNOとMNOの関係

IIJはドコモと利用者の間にいる、MVNO事業者です。
このMVNOという言葉は、Mobile Virtual Network Operatorの略で、日本語にすると「仮想移動通信事業者」という意味。具体的に説明しますと、ドコモやKDDI、ソフトバンクなど大手3キャリアのMNOMobile Network Operator)から回線を借りて通信提供している事業者のことを指すのです。

つまり、IIJはドコモ回線と契約を結び、付加価値をつけて利用者にサービスを提供している企業といえます。ではこの付加価値は何かといいますと、大手キャリアにはない「独自の料金プラン」のこと。
大手キャリアにできないプランがどうしてMVNO事業者はできるのかという疑問が次に湧いてきますね。その理由を引き続き佐々木さんが教えてくれました。

機能やコストをしぼっているから格安SIMは安い

大手キャリア3社と格安SIMのプランを比較すると、格安SIMの方が圧倒的に安いことにまずみなさん驚かれます。では、どうしてこんなに安いのかをお話ししていきます。
では、下の比較図をご覧ください。

左側がMVNO、右側がMNOのプランと機能
左側がMVNO、右側がMNOのプランと機能

左のブルー枠がIIJmioの「ミニマムスタートプラン」で、月額料金は1,600円です。
対して右側のグレー枠が大手キャリアのプラン(月2GBデータ通信+通話かけ放題)で、月額約6,500円。
MVNOが低価格料金の理由としては、提供機能を絞り込んでシンプルにしていたり、通話料がかけ放題ではなく従量制にしていると言えます。

佐々木さんの説明によると、MNOのようにプランの中にはパケット通信や音声通話以外に、決済サービスやかけ放題、キャリアメールなどたくさんが含まれてしまいますが、MVNOでは機能の有無を分けたプランが存在するということです。
「データ専用SIM」や「SMS機能付SIM」、「音声通話付SIM」など用途に合わせて機能を選べたりするのはMVNO独自のものですね。

またMVNOには販売ショップ、ショップスタッフなどのコストがかからない通販型モデルということも低価格で提供できていると話されました。
では回線をドコモに借りてるから、MVNOはなにも設備投資がないのでしょうか?
佐々木さんはこう説明されました。

MVNOも設備投資

MVNOもまったく設備が必要じゃないという訳ではありません。上の図をご覧ください。
図の真ん中の縦線で、ドコモとIIJの管轄を分けています。
IIJはドコモ回線を借りながら速度制御用サーバクーポン管理サーバなどを使用し、契約に合わせて個人個人の速度制限を行なっています。このシステム構築によって独自の料金プランを提供できているのです。ツイッターをはじめユーザーから届けられる不満の声に応えていこうと、IIJも常に通信サービス向上のため設備の増強をおこなっています。

MNOにはできないサービスのためにMVNOも設備投資をしていることが佐々木さんのお話でわかりましたね。
しかしMNOは次世代通信(5Gなど)の研究や設備投資をしています。MVNOはMNOの後追いにならないよう、今後もさらにイニシアチブをとって新しいサービスを仕掛け、競争していくことはとても重要なことだと思いました。

格安SIMが成長している4つの背景

MVNO市場が急成長した要因は、大きく4つあると続いて説明されました。

  • 総務省によるMVNO促進政策
  • MVNOによる多様なサービス展開
  • iPhone6をはじめSIMフリー端末の普及
  • MVNO市場に新規参入する事業者が増加

2015年5月1日から始まった「SIMロック解除の義務化」。そもそもどうしてMVNO事業が政策的に推進されているのでしょうか?
それはMNOの大手3社だけでは競争が不十分だったからと、佐々木さんは言います。
3社という少数企業の競争では協調的寡占になり、同じようなプラン、同じような端末、同じような通信サービスと、暗黙のうちに横並びになり競争抑制が起こります。
かといってMNO事業者がこれ以上増えてしまうと通信電波の種類が増え、電波受信がこま切れになってしまい超高速モバイルサービスが実現できなくなってしまうという弊害が起きてしまう。
そこでMVNOを総務省が推進することによって競争抑制をはずし、利用者にとってより便利で多様なサービスが生まれやすい市場作りとなっているのです。

日本におけるMVNO市場

ちなみにIIJがNTTドコモのネットワークを借りてMVNO事業をスタートさせたのは2008年。個人向けサービスの提供は2012年から本格的に開始しました。
2015年3月時点で契約数は952万回線で、1年間でプラス28.9%の伸びを記録。この急成長は総務省の推進だけで起こったことではありません。
他にも急成長の要因があります。それはiPhone6のSIMフリーモデルの発売が大きいと言われています。また海外ブランドであるASUS製「Zenfone 2」や、Huawei製「Ascend P8lite」など比較的安価でハイスペックな端末の登場も格安SIM市場を活性化し、さらに最近では新規参入するMVNO事業者が増えていることも要因のひとつだと佐々木さんは挙げていました。

さまざまな後押しがあって急成長している格安SIMですが、これから利用者が増えていくにつれていい意見だけが聞こえるということはないと思います。
「安いからやっぱり不便なものだ」という認識が広まらないように、さまざまなサービスやサポートを提供していかなければまた競争抑制が元通りになりかねません。

ユーザーの声、これからの課題

IIJは「IIJmioユーザーアンケート調査」(約3万人回答)をおこないました。
その結果から分かること、そしてこれからの課題について紐解いていきましょう。
ここからは今井さんが説明してくれました。

利用ユーザーの声

上のグラフを見ますと、男性の比率が多いということがわかります。
ただこれはアンケートに回答してくれた方から出た数字ですので、正確なユーザー男女比率とはいえません。また意外だったのが、50~60代の利用者が20代前半よりも多かったことです。格安SIMのコアターゲット層としてIIJもサービス展開を考えていかないといけません。

ユーザー満足度アンケート
ユーザー満足度アンケート

上記のアンケート結果は、「IIJmioの満足度」についてです。
「とても満足している」が46.2%、「やや満足している」が39.7%と満足度がかなり高く、サービスに納得しているユーザーが多い結果となっています。
つづいて下の結果をご覧ください。

ユーザーの不安や疑問
ユーザーの不安や疑問

こちらのアンケートは「利用する際にあたっての不安や疑問」についての回答です。
圧倒的に多かったのは「ドコモと同じ通信速度が出るか不安」というもの。それに続いて多かったのが、「特にない・わからない」となっています。

使用に関して満足しているユーザーが多いことと、実際に使ってみないとわからない速度に不安があること、不安がそもそもなかったということから読み解くと、現在利用中の方は購入前にたくさん情報を集めて慎重にSIM選びをしたと推測できます。

各種設定できたか

最後のアンケートは「購入後の各種設定はスムーズにできたか」を聞きました。
結果はほとんどの方が青色の「問題なく自分でできた」と回答していることから、もともとケータイに詳しいユーザーにとても多いといえるでしょう。
この結果から見えてくるのは、現在のIIJユーザーはITリテラシーが高い人たちがメインで加入されていると今井さんは話します。

これからさらに加入数を増やしていくには、一般コンシューマ層へ広げていくことが大きな課題といえるでしょう。格安SIMサービスの内容や設定の仕方を伝えていきながら自社のサービスを打ち出していく、MVNO各社の見せ所となっていくでしょう。

ブログ「MIKI’s Happy mio Life」
ブログ「MIKI’s Happy mio Life」

最後に佐々木さんから、一般コンシューマ向けにおこなっている取り組みを紹介されました。

IIJは、MIKI’s Happy mio LifeというMVNO初心者にさまざまな情報とどけるブログ連載をおこなっています。最新情報やお得な情報が今後更新されていく予定です。その他にもさまざまなやり方で、自社のサービスと格安スマホの良さを広めていく活動をしていくと述べられて、今回の勉強会は締めくくられました。

まとめ

私もはじめて格安SIMの設定作業をしたときはかなり手こずり、ネットで検索しながらなんとかできたと記憶しています。
「端末にただSIMを差し替えるだけ」と思っていたので、意外な難しさにおどろきました。
10~20代がMNOからMVNOへ移行するのはとても難しいと思われます。
学割やU25割など手厚い割引があるからです。よりいっそうスマホに馴染みのない層に向けたサポートや告知が重要となっていくことでしょう。
またMVNOの普及が進むことでMNOのサービス形態に今後どんな変化をしていくのかも大いに楽しみです。

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スマホ、ケータイ、docomo、au、ソフトバンク、格安SIMに関する総合情報メディア「Mobareco-モバレコ」の記事コンテンツの制作を監修。スマホのレビュー、サービス解説、ライフハックからトラブルシューティングガイドなどの幅広いジャンルのコンテンツディレクションを手掛ける。『スマホをもっとわかりやすく。もっと便利に。』ユーザー目線に沿ったコンテンツを発信中。Twitter:@mobareco_jp