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ASUS「Zenfone 8」をレビュー! よりコンパクトでシリーズ初のおサイフケータイ対応
ASUSが8月18日、最新のフラグシップ5Gスマートフォン「Zenfone 8」を発表しました。
Zenfone 6/7は、オートパノラマ撮影やフルスクリーンのデザインを実現する可動式レンズのフリップカメラが大きな特徴でしたが、今年はZenfone 8 Flipのみフリップカメラを採用。
固定式のデュアルレンズを採用した「Zenfone 8」は、新デザインのボディに最高クラスのプロセッサやディスプレイ指紋認証など最新のテクノロジーを詰め込んだモデル。
フリップカメラと引き換えにIP68等級の防水・防じんに対応。Zenfoneシリーズ初となるおサイフケータイにも対応するなど、コンパクト化されてより使いやすくなった「Zenfone 8」をレビューします。
目次:
「Zenfone 8」の外観・デザイン
Zenfone 8は背面の両エッジを湾曲させることで手に馴染む3Dカーブの新デザインを採用しています。
フリップカメラがなくなったことでクセのないデザインに変化。中央にプリントされるおなじみのロゴも“ASUS Zenfone”と書かれたシンプルなフォントに変わっています。
背面の素材も光沢のあるガラスからマット素材に。かなりサラサラな質感なので、ケースなしで使用すると手から落ちるのが怖いと感じることもありました。

ディスプレイ側のデザインもフリップカメラがなくなったことで、“ナノエッジ”ディスプレイからパンチホールディスプレイに変わりました。
パンチホールは左上に配置されているのでCod MobileやPUBG MOBILEといった横向きを前提としてゲームをプレイする場合は、パンチホールが手で隠れるため、画面欠けは気になりません。
画面サイズは5.9インチ。本体サイズは高さが148mm、幅が68.5mm。素材は滑りやすいもののサイズ感としては非常に持ちやすく片手でもしっかり握れます。
シャツの胸ポケットやジーンズのポケットにもすっぽり収まるなど窮屈さは感じません。



通知LED、スピーカーを配置
フラグシップモデルではイヤホン端子を廃止するメーカーも多く、ASUSもZenfone 7シリーズでイヤホン端子を廃止しましたが、Zenfone 8で復活しました。
本体内蔵のスピーカーはデュアルステレオ仕様。オーディオメーカーPioneerが開発した音質の乱れを正してクリアなサウンドに補正するDIRAC対応のスピーカーでゲームや音楽も楽しめます。

Zenfone 8のカラーバリエーションは、オブシディアンブラック/ムーンライトホワイト/ホライゾンシルバーの3色。レビューで使用したのはオブシディアンブラックです。
スペック・パフォーマンスをチェック
Zenfone 8 | |
---|---|
OS | Android 11(ZenUI) |
プロセッサ | Snapdragon 888 5G2.84GHz |
ディスプレイ | 約5.9インチ 有機EL Gorilla Glass Victus フルHD+ (2,400 x 1,080ピクセル) リフレッシュレート120Hz |
メモリ | 8GB / 16GB |
ストレージ | 128GB / 256GB |
カメラ | 64MP広角レンズ 12MP超広角レンズ |
フロントカメラ | 12MP |
バッテリー | 4,000mAh |
サイズ | 約68.5 x 148 x 8.9mm |
重さ | 約169g |
microSD | 非対応 |
SIM | nanoSIMスロットx2 |
5G | n1/n2/n3/n5/n7/n8/n12/n20/n28/n38/n77/n78 |
4G | B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B18/B19/B20/B26/B28/B34/B38/B39/B40/B41/B42 |
プロセッサは今夏発売のハイエンドスマートフォンが多く採用するSnapdragon 888 5Gを搭載。メモリは最大16GBです。
メモリ16GBモデルのベンチマークをGeekBench 5で計測したところ、シングルコアは998点、マルチコアは3451点を記録。
性能アップ機能をオンにすると、シングルコアは1120点、マルチコアは3552点までスコアアップしました。
いずれも3回平均によるもの。同じプロセッサを搭載したXperia 1 IIIとほぼ同じスコアです。



ゲームに大きく関わるGPUの性能は3D Markで計測しました。瞬発的な描画性能を計測できるWild Life Extremeは1498点を記録。




申し分ない性能で高い描画性能が要求される「CoD Mobile」や「ウマ娘プリティダービー」も快適にプレイできます。
ゲーム中の発熱もそれほど気になりません。
長時間の描画性能を計測できるWild Life Extreme Stress Testでは、ベスト1495点、ロー1269点を記録。発熱によって84.9%までスコアが落ちました。やはり優秀です。
Xperia 1 IIIに比べてもかなり発熱しにくいと評価できます。




ただ、一方で気になったのはカメラ使用時の発熱。天候が悪く気温が低いなかでもカメラを使用するとそれなりに発熱を感じました。
バッテリーは4,000mAhを搭載しています。電池持ちを検証するために、リフレッシュレートを120Hzに設定(固定)し、画面の明るさを最大に設定した状態でYouTubeの動画を再生したところ1時間で21%減少しました。
カメラ検証で外出したところ4時間の使用で写真320枚を撮影し合間にゲームをしたところバッテリーが70%から5%程度になりました。
Wild Life Extreme Stress Testでバッテリー残量が16%減少したことを考えても消費電力は結構大きいようです。
バッテリーはUSB PD 3.0に対応。最大30Wの急速充電によって30分で約50%まで充電可能。1時間ちょっとでフル充電になります。

5GはSub6のみ対応しています。バンドとしてはn77/n78をサポート。
ドコモのみが展開するn79に非対応かつドコモのahamoを契約したSIMカードを挿入しても電波をキャッチできず圏外になりました。
筆者は手元にある回線のほとんどをeSIM化しており、Zenfone 8はeSIM非対応のため、残念ながら5Gは利用できませんでした。
前モデル「Zenfone 7」との比較
Zenfone 8 | Zenfone 7 | |
---|---|---|
OS | Android 11 | Android 10 |
プロセッサ | Snapdragon 888 5G | Snapdragon 865 5G Snapdragon 865 Plus 5G |
ディスプレイ | 約5.9インチ 有機EL Gorilla Glass Victus フルHD+ (2,400 x 1,080ピクセル) リフレッシュレート120Hz |
約6.67インチ 有機EL Gorilla Glass 6 フルHD+ (2,400 x 1,080ピクセル) リフレッシュレート90Hz |
メモリ | 8GB / 16GB | 8GB |
ストレージ | 128GB / 256GB | 128GB / 256GB |
カメラ | デュアルカメラ 64MP広角レンズ 12MP超広角レンズ ー |
フリップカメラ 64MP広角レンズ 12MP超広角レンズ 8MP望遠レンズ |
フロントカメラ | 12MP | ー |
スピーカー | デュアルスピーカー ハイレゾ Dirac HD Sound |
デュアルスピーカー ハイレゾ ー |
バッテリー | 4,500mAh | 5,000mAh |
サイズ | 約68.5 x 148 x 8.9mm | 約77.2 x 165 x 9.6mm |
重さ | 約169g | 約230g |
5G | ミリ波:X Sub6:○ |
ミリ波:X Sub6:○ |
microSD | ◯ | X |
おサイフケータイ | ◯ | X |
防水 | IP68 | X |
指紋認証 | 画面内認証 | X |
昨年発売された「Zenfone 7」と最新モデルの「Zenfone 8」を比較してどれほどの進化を遂げたのか確認しておきましょう。結果から言えば別物です。
大きな変化はボディがコンパクト化されたこと。画面サイズも大幅に小型化されたことで、片手でも使いやすいサイズになりました。
重さも25%以上軽量化されたことで、長時間電子書籍を読んだり、ゲームをプレイするときも手が疲れにくくなっています。
リフレッシュレートは90Hzから120Hzに向上したことで、さらになめらかな映像が楽しめるようになりました。
ディスプレイを保護するガラスは、最新のGorilla Glass Victusにアップデートされたことで、最大2mの落下耐久を備え、キズに対する強さも2倍になっています。

チップセットは最新のSnapdragon 888 5Gを搭載したことでパフォーマンスは最大25%向上、グラフィックス性能も最大35%向上しました。
さらにメモリ容量が2倍の16GBになったことで、複数のアプリを使い分ける使用方法でも快適に利用できます。
カメラはフリップ式から固定式に変更。残念ながらズーム撮影に強い望遠レンズは廃止されています。カメラに強くこだわる場合はトリプルレンズのZenfone 8 Flipがおすすめです。
注意が必要なのはmicroSD非対応になったこと。Zenfone 7は最大2TBのmicroSDカードを利用できましたが、Zenfone 8では利用できません。今後もmicroSDを利用したい場合はZenfone 8 Flipを選ぶことになります。
このほかおサイフケータイ、防水・防じん、ディスプレイ指紋認証はZenfone 7、Zenfone 8 Flipともに非対応です。
「Zenfone 8」のカメラ性能をチェック
Zenfone 8のカメラは、64メガピクセルの広角レンズと12メガピクセルの超広角レンズで構成される2眼仕様。ワンタッチで2つのレンズを切り替えることができます。

広角レンズは、f/1.8の明るいレンズでSony製のIMX686イメージセンサーを搭載。光学手ブレ補正に対応します。
超広角レンズは、f2/2のレンズでSony製のIMX363イメージセンサーを搭載。高速で正確なデュアルPDオートフォーカスに対応し、4cmまで近づける接写撮影も可能です。いずれもZenfone 7のレンズを引き継いだものでアップグレードはありません。
以下の写真はZenfone 8のカメラで撮影した写真です。(クリック or タップで拡大表示できます。)

料理モードによって美味しそうに補正される



ややノイズが気になるがソフトウェア処理で明るい写真に仕上がる










撮影日は天候に恵まれず、雨が降る屋外や日差しが弱い屋内で撮影しています。暗所に弱いのか全体的にノイズが気になる仕上がりになりました。
ズームは最大8倍に対応。広角レンズの64MPで記録した画像を切り抜いて拡大、補正するデジタルズームなので画質の劣化が目立つ結果に。
超広角レンズで接写もできるようですが、マクロモードはなく被写体に近づいてもフォーカスが合わないませんでした。カメラアプリの方でもう少しサポートが必要です。
カメラアプリにフィルター機能はなく撮影モードは夜景・ポートレート・PROカメラ・PROビデオなどかなりシンプル。
公式サイトでは“Pro-grade”と謳われていますが、大きな期待を寄せると後悔するかもしれません。
まとめ:Zenfone 8の機能と使ってよかったポイント

Zenfone 8の良さは“潔さ”でした。
定着が難しいフリップカメラから通常のデュアルカメラに戻し、クセのない一般ウケする新デザインを採用することで、ディープなZenfoneファンだけでなく万人ウケしやすくなりました。フリップカメラで離れた旧ファンの復帰もあるのではないでしょうか。
フリップカメラをやめたことで最高レベルのIP68防水・防じん性能を備え、Zenfoneシリーズとして初めておサイフケータイに対応するなど、多くの日本のユーザーが求めるものがZenfone 8には揃っています。
Zenfoneファンが愛するフリップカメラは完全廃止にするのではなく「Zenfone 8 Flip」に搭載を継続してZenfon 8との差別化に繋げました。非常にスムーズな移行だと思います。
Zenfone 8には、5Gや最新のプロセッサ、大容量のメモリとバッテリー、120Hzのリフレッシュレート、マスクを着けていても快適に画面ロックを解除できるディスプレイ指紋認証など魅力的な最新のテクノロジーが1台に凝縮されています。
魅力的な機能だけではなく、気の利いた機能も充実しています。


最近のスマホでは定番の「片手モード」や、電源ボタンを2回押したり、長押しによって好きなアプリを起動する「スマートキー」や、5種類の動作モードを利用することで電池持ちの改善に繋げたり、バッテリーの充電スピードを抑えたり、フル充電の状態を短くすることで劣化を防いでバッテリー寿命を延ばせる「バッテリーケア」といったスマートな機能が豊富に用意されています。
使いやすく選びやすくなったZenfone 8の発売日は2021年8月20日です。