良質なコンテンツを作る秘訣は「効率よく忘れる」こと。ウェブライダー松尾氏がオススメする【Kindle書籍この1冊】

書いた人: モバレコ編集部

カテゴリ: アプリ

良質なコンテンツを作る秘訣は「効率よく忘れる」こと。ウェブライダー松尾氏がオススメする【Kindle書籍この1冊】

スマホがあれば、何度も読み返したいお気に入りの本もKindleアプリでいつでもどこでも読むことができます。スマホを使ったその人ならではの読書方法もあったりして、どんな本を読んでいるのかと合わせて、その使い方も気になるところですね。

様々な業界の著名人にオススメのKindle書籍をインタビューする『Kindle書籍この1冊』、今回はSEOに強いWebコンテンツ制作、ツール開発、コンサルティングなど、幅広い分野で活躍される株式会社ウェブライダーの松尾 茂起(まつお しげおき)さんにオススメのKindle書籍についてお話を伺いました。松尾さんがプランナー、ライターにオススメする本とはいったい何なのでしょうか。

月に読む本は20冊~30冊くらい。物事の伝え方のバリエーションを学ぶために様々なジャンルの本を読むように意識している。

株式会社ウェブライダー 松尾 茂起(まつお しげおき)さん

— それではまずは自己紹介からお願いします。

株式会社ウェブライダーの松尾と申します。ウェブライダーは、検索エンジンからの集客を高めるためのコンテンツの制作や、Webマーケティング支援事業としてツールの開発・サポートやコンサルティングなどを行っています。
Webを通じて、モノ・コトの価値を分かりやすく伝えるプロ集団」として、世の中にある “分かりにくいこと” を、分かりやすい形にし、それを必要とする人たちに伝えることが、私たちが行っている事業の内容となります。

— ありがとうございます。それではその「分かりやすく伝える」ためにはいろいろな秘訣があると思いますが、そのための情報収集やインプットのために月間どのくらいの本を読まれるのですか?

しっかりと読むのは月に大体20冊くらいですね。基本的には電車での移動時間とか寝る前とか、思い立った時にすぐ読むようにしています。けっこうざっくりと読むことも多いので、そういうのも入れると月30冊くらいです。先ほどご紹介したサイトのように、医療系の記事を書くことが多いので読む本も医療系が多いのですが、最近はそれ以外にも科学の本とかも読むようになりました。

— 科学の本ですか。それはなぜでしょうか?

最近はひとつのことを突き付けるよりも、いろいろなことが知りたいと思うようになりました。これって実は今の自分の仕事にシンクロしていまして、一つの例で言えば、弊社がコンテンツ制作している「ナースが教える仕事術」というサイトがあります。こちらでは主に医療系のネタについて記事を書くのですが、ただ単に医療のことをつらつらと書いてもあまり読者さんからは興味を惹かないんですよね。医療のネタをわかりやすく伝えるために、あえて医療以外の情報を積極的に仕入れて、普通とは少し違った切り口でわかりやすく伝えられるようなコンテンツを作るようにしています。

ナースが教える仕事術
ナースが教える仕事術

ネタの切り口を変えることで、より多くの人の「自分事」になるかもしれない。自分事になれば、人は文章を読みます。その自分事の要素を入れるための演出のバリエーションを増やすために、意識的にいろいろな本を読むようにしています。

— なるほどですね。では Kindle(スマホ)で本を読むことによる便利さってどういうところに感じられますか?

スマホの画面キャプチャとの相性がいいと思います。

— キャ、キャプチャですか?

はい、私はKindleで本を読んで気になるところがあったら、そのページをキャプチャで撮って、あとでパソコンを使って文字起こしするようにしているんです。一旦手動で文字起こしして、整理された状態にしてからEvernoteに入れて、あとで情報を引っ張りやすくしています。この手動で文字起こしをするという点が重要で、文字起こしをしている時点で、頭により深くインプットされていくんですね。

「画面キャプチャだったら普通の本でもいいじゃない」と言われそうですが、普通の本をキャプチャすると、毎回本のサイズが違ったりするので、なんとなくリズムが狂うんですよね。でも、Kindleのアプリや端末で読むと、基本的にはどんな本もKindleに統一された同じサイズになります。スマホのKindleアプリを使っている場合は、そのまま画面キャプチャできますしね。ちなみに、Kindle端末で読んでいるときは、Kindle端末本体に映っている画面を撮影するんですが、いつも撮影の角度は同じです。一見パターン化してもムダなようなものでも、パターン化することであとの作業が大幅に効率化したりします。

松尾さんはiPhoneとAndroidの二台持ち
松尾さんはiPhoneとAndroidの二台持ち。メインのスマホはiPhoneとのこと。iPhoneの画像フォルダにはKindleアプリのキャプチャやKindle端末の画面を撮影した画像がたくさんあった。

自分で執筆・編集するコンテンツは月に5本くらい。原稿はiPhoneの音声入力で移動中に書き上げています。

— 現在、いろいろなサイトで松尾さんが携わられたコンテンツが公開されてますよね。松尾さんが執筆・編集された記事は、今、月にどれくらいのペースで公開されているのですか?

最近ですと、先ほどの「ナースが教える仕事術」の他にも「俺の薬局」というサイトでも執筆・編集を行っていて、その他のサイトも合わせるとだいたい月5本くらいのペースですね。

リクナビ薬剤師のコンテンツ「俺の薬局」
リクナビ薬剤師のコンテンツ「俺の薬局」

— え、あのボリュームで月5本ですか!? (注 : 松尾さんの記事は情報の網羅性が高く、1記事あたりのボリュームが非常に多い)  コンサル業や経営者業もある中で、いつ原稿書いてるんですか?

記事の原案は移動中とかにiPhoneの音声入力を使って書くことが多いです。

— え?iPhoneの音声入力ですか??

はい。正しくはiPhoneのSiriを使った音声入力なんですけど、Siriが非常に優秀で、たとえば「けんさくえんじんさいてきか かいぎょう」とか「そのとき てん かれはぱそこんをたちあげた まる」といったように、頭のなかに浮かんだフレーズをiPhoneに話しかけて文字列に変換し、その文字列をまとめたテキストファイルをパソコンに転送してあとでパソコンで清書しています。

夜、家に帰る時とか移動中とかもiPhoneに向かって語りかけながら歩いています。ぶっちゃけ変な人のように見えるかもしれませんが、変な人に見せないポイントがあるのでお教えします。

— え?変な人に見せないポイント・・・ですか??

はい。変な人に見せないポイントは、ボソボソと小声で話しかけるのではなく、電話しているくらいの大きな声量ではっきりと話しかけることです! というのも、ボソボソと話しかけるから、独り言ばかり言っている変な人に見えてしまうんです。誰かと電話で話しているように見せかければいいんです。

電話しているくらい大きく話すと変な人に見えない?

— なるほど。たしかに暗い中でスマホのライトに照らされながらブツブツ言ってる人が歩いてきたら非常に不気味ですね(笑) あのボリューム感ある記事をスピーディーにつくる秘訣を知ることができました。

人間の記憶容量には限界がある。効率的なインプットのためには今ある知識をいかにうまく忘れられるか。

— それでは本題ですが、今回ご紹介いただける本はなんでしょうか?

はい、外山滋比古さんの「思考の整理学」です。

外山滋比古「思考の整理学」

アイディアが軽やかに離陸し、思考がのびのびと大空を駆けるには?自らの体験に則し、独自の思考のエッセンスを明快に開陳する、恰好の入門書。

筑摩書房 より

この本はいわゆる、「知識をどのように得て、どのように利用し、どのように保管するか」という本です。
日常的にアイデアを出す仕事をしている人に刺さる名言がたくさん載っています。プランナーやライターの人にとってはめちゃくちゃ響く本だと思います。

先ほど言ったように、私はいろいろなジャンルの本を積極的に読むようにしているので、必然的にいろいろな情報が頭の中に積み上げられていきます。それらの情報の整理について、いい方法がないかなと悩むことが増えたころに、本屋で偶然出会ったのがこの本です。

— 「知識をどのように得て、どのように利用し、どのように保管するか」。なるほど、面白そうな内容ですね。では具体的にはどういったコツが書かれているのですか?

結論から言うと「知識はムリに憶えようとするな。忘れろ」ということがこの本には書かれています。人間の記憶容量には限界があるので、使わないものは積極的に忘れたほうがいいよってことですね。

ですが単に忘れるのではなく、忘れてもいいけど後で使うかもしれないから完全に忘れるんじゃなくて手がかりを残して忘れる、みたいな感じです。パソコンのデータを消去する時はいったんゴミ箱に入れて整理しますけど、データがまだゴミ箱の中に入って取り出せるという安心感って大きいですよね。捨てたように見せかけて、実はゴミ箱からいつでも引っ張り出せる状態にしておくっていうのがイメージに近いかもしれません。

賢く忘れられる人は頭の中の記憶容量をその分有効利用できるので、積極的にインプットを行いガンガン知識をつけられます。そしてそれらの知識もその都度分類をおこない、「今すぐ必要な知識」と「あとで使う知識」「完全に要らない知識」とに分類するんです。

株式会社ウェブライダー 松尾 茂起(まつお しげおき)さん

ただ、この本は「忘れる」方法を具体的に書いてあるわけではありません。あくまでも「忘れる」ことが大事だよという気付きを与えてくれる本です。ただ、一般的なライフハック本と比べ、外山先生の人間味あふれるエッセイ調の言葉でわかりやすく書いてあるので、概念がすんなり入ってきました。とっても読みやすく、ライティングの参考にもなりました。お恥ずかしながら、後から知ったのですが、この本、発売から30年くらい経つ本なんです。全然色褪せない内容でビックリしました。最近では、東大生が一番よく読む本になっているらしいですよ。

— なるほどですね。では、この本を読んでよかったことをもうひとつだけ教えていただけますか?

この本では、アイデアは「よく寝かせることが大事」と書かれています。寝かせることで発酵し、いい味わいのコンテンツが生まれるのだと。たしかに、寝かせることで作ったものを客観的に見ることができますし、寝かせてる期間に新しい情報が入ってきたらまた違った文脈でコンテンツを調整することもできます。

ウェブライダーでも、記事を完成させるまでに、ある程度寝かせる期間をつくります。といっても1日、2日ほどなんですが、その1日、2日ほどでも、コンテンツを作った時点では気付かなかったものが見えることが多々あります。記事を書いてすぐに公開、ということを繰り返している方は、ぜひ寝かせる時間を作ってみてください。コンテンツがいい具合に発酵し、味わい豊かなものに仕上がるかもしれません。

最後に

— 松尾さんはWebでのコンテンツ制作とは別に、書籍も書かれていますよね。そちらのご紹介をお願い致します。

はい。これまでに2冊の単著と1冊の共著を書かせていただきましたが、その3冊の中で一番オススメするのは「沈黙のWebマーケティング」です。

沈黙のWebマーケティング

— こちらはどのような本でしょうか?

Webマーケティングの知識をストーリー形式でわかりやすく学べる1冊です。
この本は、Webマーケティングの本を読まないような上司でも読みたくなるような本を意識しました。

沈黙のWebマーケティング

こちらはWebでも公開されています。

沈黙のWebマーケティング

元々はレンタルサーバーのCPIを展開しているKDDIウェブコミュニケーションズさんから依頼を受け、CPIサーバーをもっと多くの人に認知してもらうためにつくったコンテンツです。レンタルサーバーに興味がない人たちにサーバー選びの重要性を説いても興味が湧きにくい。でも、その人たちはWebマーケティングには興味があったりする。じゃあ、まずはWebマーケティングのノウハウを知ってもらった上で、その中でサーバー選びの重要性を伝えていったらいいのではと考え、いわゆる「リードナーチャリング(見込み客育成)」のためのコンテンツとして企画しました。結果的にこのコンテンツはSNSなどを通じて多くの反響をいただき、出版社さんからご連絡をいただくまでに至りました。その後、書籍化されたのですが、実は書籍出版時にはAmazonの総合ランキングで30時間連続1位になったんです。Webマーケティングの本が総合1位というかなり変な状況でしたが、悪いことをしていないので、変に叩かれたらどうしようと焦りました・・・。

—総合1位はすごいですね!世界一のWebマーケッターが活躍する本がAmazonで1位をとると説得力がありますね。そういえば、「主人公が扱うノートPCが40kg」という設定に衝撃を受けた記憶があります(笑)

ありがとうございます(笑) 世界最強のWebマーケッターなので、おそらくキータッチだけで並のノートPCは吹っ飛ぶに違いない、と。だったら、もっと堅牢なノートPCにしないと!という発想からその重さになりました。筐体が「金」でできているのは、ちょうど執筆時に読んでいた科学の本に金は密度が高いという情報があったから、その情報を参考にしました。

—「重金属である金の密度は19.32。そこから算出した重量は40kgだ」というくだりですね。

はい。

—沈黙のWebマーケティングには松尾さんがインプットしたいろいろな雑学がちりばめられているんですね。取材は以上です。ありがとうございました。

—あ、そうそう、松尾さんといえばTwitter上で「マンドリル」という発言(ツイート)をよくされていますが、マンドリルっていったいどういう意味なんですか?

マンドリルについては今は明かせません。

—はあ、そうですか。取材は以上です。ありがとうございました。

そのフレーズ、さっきも言いましたよね。

マンドリル

※マンドリルに関しては、ウェブライダーのサイトに掲載されていた写真をお借りしておきました。

取材協力 : 株式会社ウェブライダー

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松尾さんは元々ミュージシャンとして活動をされておられ、自身の音楽コンテンツを広く知ってもらうためにWebサイトを作り、そのWebサイトにアクセスを集めるため、SEOの技術を身につけたという経歴の持ち主。そして今はウェブライダーという会社を立ち上げ、コンテンツ制作からコンサルティングなど、日々多忙な日々を送っておられます。

いろいろな人に響くコンテンツをつくるためには、たくさんの本を読んで知識を得、使わない知識に関しては効率よく忘れ、空いた記憶領域にまた新しい知識を入れるという繰り返しが大切だと感じたインタビューでした。

次回はWebディレクターの情報共有活動が活発な日本ディレクション協会会長の中村健太さんにお話を伺ってきます!

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この記事を書いた人(編集:モバレコ編集部)

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スマホ、ケータイ、docomo、au、ソフトバンク、格安SIMに関する総合情報メディア「Mobareco-モバレコ」の記事コンテンツの制作を監修。スマホのレビュー、サービス解説、ライフハックからトラブルシューティングガイドなどの幅広いジャンルのコンテンツディレクションを手掛ける。『スマホをもっとわかりやすく。もっと便利に。』ユーザー目線に沿ったコンテンツを発信中。Twitter:@mobareco_jp




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