「10年後にはもっとスゴイことに」ケーブルテレビ界の巨人・J:COMがスマホ市場に参入したワケ【インタビュー】

書いた人: モバレコ編集部

カテゴリ: スマホ

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「10年後にはもっとスゴイことに」ケーブルテレビ界の巨人・J:COMがスマホ市場に参入したワケ【インタビュー】

さまざまな形のMVNO事業者が日々参入する中、ケーブルテレビサービスの最大手であるJ:COMがモバイル事業に参入し、話題を呼んでいる。ケーブルテレビ事業者とMVNO、両者にはどのようなつながりがあるのか。

「携帯事業に参入というよりも、TV Everywhereの延長線上に携帯ファシリティを持たざるを得なかった」そう話すのは、株式会社ジュピターテレコム(J:COM)の中馬和彦氏

株式会社ジュピターテレコム 商品企画本部 副本部長 中馬和彦氏
株式会社ジュピターテレコム 商品企画本部 副本部長 中馬和彦氏

単にモバイル回線の提供というだけでなく、同社独自のオンデマンド動画サービスを含め、あくまでもテレビサービスの延長線上にあるという同社の取り組み。10月29日の提供開始からこれまでの動向も含め、今回はJ:COMがモバイル事業に参入したワケをインタビューで迫ってみた。

率直に、モバイル事業に参入したワケを聞いてみた

――早速ですが、今回モバイル事業を始められた経緯についてお伺いできますか?

中馬氏:「我々はauの資本が入っている関係もあり、実はauケータイにおいてかなり大手の代理店という位置づけなんです。J:COMのサービスとauのケータイを一緒に使っていただくと料金が安くなるauスマートバリューも適用されるため、おかげさまでauのお客様が増えています。その一方で、どれだけアプローチをしてもなかなか届かない層というのが、なんとなく見えてきたんです。

それは単なるお金の話ではなくて、『ホントはスマホを使いたいけど、でも乗り換えるのはなぁ……』といういくつかのハードルがある。そこで、僕らケーブルの事業者がユニークなサービスで参入することで、潜在的なスマホの層の方々が移行できるのではないか、と考えたわけです」

どうしても届かなかった層へのアプローチ、それが今回の参入のキッカケだという
どうしても届かなかった層へのアプローチ、それが今回の参入のキッカケだという

スマホに興味を持ってはいるけれど、これまでのアプローチでは乗り換えに踏み切れないという現実があるようだ。さらに、「携帯会社のビジネスモデルや昨今増えてきているMVNOのサービスモデルだと、クリアにするのは難しい」と中馬氏は話す。

――実際、今回のサービスを始められて新規ユーザーの獲得は?

中馬氏:「幸いなことにありますよ。『外でTV見放題なんでしょ?そんなケータイなかったから面白いよね』というお声もいただいてます。TV好きな人たちも『J:COMがモバイル始めたし、外で番組が見たりできるんだったら、じゃあ変えようかな』とか」

――年齢層とかはシニアに近い方だったり?

中馬氏:「そうですね。スマートバリューでiPhoneに移られている層というのは30代~40代、上でも50代くらいの方です。逆にいうと、50代、60代、70代となるとガラケーでとどまっているというのが僕らにははっきりとわかっています。それを元に、端末の形状やサービスのオファーもしているので、想定通りの方々からお問い合わせをいただいてますね」

ガラホではなくスマホでなければならない

想定した層の反応もあり、まずは上々の滑り出しとも言えるJ:COM MOBILE。世間では「ガラホ」といわれる、Androidを搭載しつつガラケーのようにシンプルな操作感を提供する端末も登場している。ただ、J:COMとしてはガラホではなく、あくまでも中身はスマホであることにこだわっているという。

LG G Pad 8.0 L Edition(左)とLG Wine Smart(中・右)
LG G Pad 8.0 L Edition(左)とLG Wine Smart(中・右)

――今回は二つ折りタイプの、しかもスマホとして使えるという端末をご用意されていますよね。こちらの評価はいかがですか?

中馬氏:「これ、手前味噌なんですけどめちゃくちゃ評判よいです。『さすが、どうだ!』という感じですね。あまりいうと評判悪くなったら困りますけど(笑)」

――ピッタリとハマったんですね。

中馬氏:「やはり3年くらいauの販売をしていて、なぜ乗り換えていただけないのかを明確に理解していたからだと思います。僕らは訪問販売でやっていますから、お客様のところに行って説明して、こういうのがダメだから今日はいいや、と言う生の声を聞いてみて。なので、比較的イメージ通りに刺さっているかなという気がしています」

――やはりカタチも重要だったんでしょうか?

中馬氏:「やっぱりガラケーからスマホにいかない人たちって、カタチも結構気にされるみたいです。一枚板の形状、タッチパネル特有のおどろおどろしさもあるのだとか。一方で、ガラケーをそのまま使いたいわけでもないんですね。最近はキャリアさんも『ガラホ』を出していますが、大きくは売れていない。僕らの分析だと、それってスマホじゃないからだと思うんです。みなさん、LINEを使いたいし、アプリも入れてみたいし、やっぱりスマホが使いたいんです。だけど難しそう……そんな状態だと思っています」

――ガラホとは似ているようで、ターゲットが違うんですね。

中馬氏:「ガラホはAndroidで作ったフィーチャーフォンなので、当然AndroidのCTS(※Googleが求める基準テスト)は通っていないんです。つまりGoogle非認証の端末なので、当然Google Playには対応できないですし、アプリも落とせません。買ったときから進化しない、いわゆるザ・携帯電話。これだと、本当に使いたいアクティブシニアだとか、ちょっとリテラシーなどが阻害になっているスマホ潜在層というのは、僕は動かせないと思っていて。この『Wine Smart』はただ二つ折り形状になったスマホというだけなので、そこは今までのガラホとはちょっと違うかなと思っています」

J:COMスマホセットとして販売された LG Smart Wine。れっきとしたスマートフォンだ
J:COM MOBILEスマホセットとして販売された LG Smart Wine。れっきとしたスマートフォンだ

設定をとことん行ってから提供

これまでのガラケーをそのまま使いたい方向けのガラホに対し、J:COMの端末はGoogleの認証も通ったスマートフォンだ。二つ折りという慣れ親しんだカタチだけでなく、ソフト面の工夫も多く盛り込まれ、いわばスマホへの移行を促進するような要素も見られる。
Googleの基準を満たしながら理想のカタチを実現するための、J:COMならではの施策も教えてくれた。

――端末について、今回特にこだわって設計されている箇所はありますか?

中馬氏:「Googleさんって、実はAndroid端末の基準が非常に厳しいんです。認証をとるためには、GMSと言われる仕様があり、GoogleオフィシャルAppsの標準搭載や、検索窓の設置など、様々な条件が設けられています。しかし、『Wine Smart』の画面サイズでGoogle標準のUIを入れてしまうとかなり見づらくなってしまう。僕らのターゲットとするお客様からするとこれは使いにくいんじゃないか、という懸念がありました。そこで今回、J:COMではeasyホームという独自のホーム画面を用意し、出荷後にお客様のご希望に応じてキッティング作業(マニュアルでの事前設定)で変えることにしました

Google標準のUI(左)とeasyホーム(右)
Google標準のUI(左)とeasyホーム(右)

J:COMの想定しているユーザー層は、Google標準の仕様ではなかなか入り込めない層だ。しかしGoogleの条件を満たさないことには、Google Play対応にならないし、バージョンアップも行えない。Googleの求めるAndroid規格を満たす必要が出てくる。これらを両立するために、現場がキッティング作業で埋めているというのだ。

――キッティング作業で設定を変更しているとは思いませんでした……。

中馬氏:「多くのMVNOなどではネットで買ったらそのままの状態で送られてくると思います。僕らの場合は、例えばSIMカードも入れて差し上げて、SDカードをセットで購入いただいた場合はSDカードもこちらが挿して差し上げて、さらに初期設定もある程度まで行った上で出荷しているんです」

――そこまでサポートするんですか?

中馬氏:「そうですね、これがケーブルテレビなんですよ(笑) そのプロセスをあえて設けているので、初めての方が『ガラケーみたいだと思ってたら、いきなりGoogle IDを求められて困ってしまった』というようなこともないんです」

――マニュアルの対応で細かく丁寧に吸収しようというところがケーブル事業者ならではのアプローチですよね。ハードキーなどの工夫などもお伺いできれば

中馬氏:「やっぱりこのざっくぅキーですね。もともと韓国メーカーの端末なので、韓国だとカカオトークのボタンだったんです。誰も使わないぞ日本では、なんて話をしていて(笑)

僕の思いとしては、TVなんかをボタン一発で、それでJ:COMワールドに入り込む、みたいなモチーフが欲しくて。ここのキーはなんにでも変えられたんですが、あえてざっくぅキーという形にして、長押しするとショートカットが出るようにしています。デフォルトはブラウザのMY J:COMというユーザーポータルになっていますが、J:COMオンデマンドが表示されるように設定していただくと、TVを観たいときにはざっくぅキー押してねとなるわけです」

――ユーザーが使いたい機能を割り当てることが出来るんですね。

中馬氏:「そうですね。やっぱりお客様がスマホで使いたいというのは圧倒的にLINEなので」

――確かに今やLINEは欠かせないツールになってます。

中馬氏:「実はLINEさんと話してプリインストールするかという話もあったんですが、最終的には僕らの方でダウンロードや初期設定までやって差し上げてLINEを入れることにしました。なのでLINEを選べば、ざっくぅキーはLINEボタンにもなるわけです。本当はJ:COMサービス使っていただきたいですが、お客さんがLINEが良いということであればLINEボタンにしてもらえばいいし、そこも含めてJ:COMの心遣いを込めました」

ざっくぅキーは指定したアプリへのショートカットキーになる
ざっくぅキーは指定したアプリへのショートカットキーになる

――なるほど、ユーザーが使いたいものを選べる余地があるんですね

中馬氏:「あとこれ、世界で一台しかない僕の持っている試作機なんですが……ここ、『ざっくぅキー』じゃなくて『★』なんです。名づけて中馬スペシャル(笑) ざっくぅキーにすることを発売ギリギリまで秘密にするために、社内で最後まで僕は『ここは★ですから』と言い張ってたんです(笑)」

左が、世界に一台しかない『中馬スペシャル』!
左が、世界に一台しかない『中馬スペシャル』!

機種のラインナップよりもひとつひとつのサポートを充実

第一弾としてはフィーチャーフォンタイプの二つ折り端末をリリースした同社。「ガラケーの黄金の法則として、横幅が50mmを超えると急激に持ちにくくなる」と話す中馬氏は、最終的に持ったときの納得感で「LG Wine Smart」を選んだという。

今後のラインナップとしても、ただ闇雲に機種の選択肢を増やすつもりはないとのこと。その大きな理由が、J:COMの持ち味であるサポートの充実にあるという。

――今回はフィーチャーフォンタイプということですが、今後従来のストレートタイプも視野に?

中馬氏:「発表会のときはシルエットで隠してましたが、ストレートタイプの防水型スマホと防水型タブレットを年明けには発売する予定です。第一弾として販売している二つ折りの端末とタブレットをスタンダードとすると、これらはハイエンド機となりますね」

――スマホに慣れたユーザーの中にはよりスペックを求める層もでてくるかと思います。第3弾、第4弾と重ねていかれると思いますが、機種も増えていくのでしょうか?

中馬氏:「僕らはラインナップを広げる気はあまりないんですよ」

――そうなんですね、何か理由が?

中馬氏:「お客様がスマホに乗り換えられなかった要因として、やっぱり設定であったりアフターサポートをスゴく気にされていて。これまでも、auの商品だとどうしてもauショップに行って下さいとなってしまいますし、すると『J:COMさんが家に来てくれないなら、いいや』となるケースは結構あったんです」

――J:COMならいつも家に来てくれるとお客さんが思っているから、なおのことですよね

中馬氏:「はい。なので、家にお伺いしてサポートをして差し上げるというケーブルテレビ固有のビジネススタイルをいかにケータイに持ち込むか、というのが非常に重要で。そうなった時に、営業やアフターサポートのメンバーが、メーカーもUIも異なる10種類くらいのラインナップをすべてサポートできるかというと、たぶんできない。それよりも、お客さんに聞かれたことを100%答えられて、目をつぶっていても説明できるような状態にして差し上げるのが僕らのビジネスモデルです」

100%答えられるサポート体制こそ、J:COMのビジネスモデルだ
100%答えられるサポート体制こそ、J:COMのビジネスモデルだ(参照

――なるほど、それが機種を増やさない理由なんですね

中馬氏:「ハイエンドとスタンダードと、もうちょっと増やすかもしれませんけどね。今回、スマホもタブレットもLGさんで、うちの営業マンもLGさんのUIを熟知しています。これを、お客様に接するスタッフ全員が意思を持ってやれるかが重要です。なので、あんまり増やしたくないなとは思っています」

他社とは一線を画すライブコンテンツ

J:COMが今回のスマホセットで全面に押しているのが、ビデオオンデマンドサービスだ。他社からも続々とビデオオンデマンドサービスが登場しているが、J:COMには競合他社にはない強い武器がある。それがライブ配信だ。

――続々と他社のビデオオンデマンドサービスが登場していますが、J:COMならではの強みは?

中馬氏:「ひとことで『ライブ』ですね。基本的にサブスクライブ型のビデオサービスは映画やドラマのアーカイビングですが、一方でライバルにないもの、例えばスポーツとかニュース、音楽、そういったライブ性、今見る必然性があるものです」

放送中のものなどライブ性のある番組をみれるのが特徴だ
放送中のものなどライブ性のある番組をみれるのが特徴だ(参照

――J:COMだと12球団プロ野球なども配信されていますね

中馬氏:「いまTVを付けてもなかなか地上波でプロ野球やっていませんが、J:COMなら12球団全部やっています。しかもオンデマンドサービスのくくりで、放送中の番組としてリアルでも流しています。そのあたりは、通常の加入型のサービスではまったくないコンテンツです」

――確かに他社のサービスにライブ放送は見当たりませんね

中馬氏:「たくさんコンテンツがあるというのは当たり前の話として、本当に見たいとき、つまりモバイルとしてのモビリティを問われるものは僕らにしかないと思っています」

――ビデオオンデマンドサービスがたくさんあっても、コンテンツがかぶっていたりとか、もったいない面もありますね

中馬氏:「例えば、ライブハウスの映像やフェスのライブ映像こそ、あえて旅先や出先でも観たいものじゃないですか。すると携帯性って非常に重要で、さらにはパケ代が気になって野球がおちおち見てられない、というのも本末転倒な話だと思います。そのあたりをカバーしようとすると、今回僕らがやったサービスになってくる、ということですね」

J:COMオンデマンドアプリ使用時はデータ通信量がカウントされない独自の仕組み
J:COMオンデマンドアプリ使用時はデータ通信量がカウントされない独自の仕組み

細かな準備を積み重ねて実現できたライブサービス

昨今のMVNOの料金は3GBで1,600円が主流なのに対し、J:COMモバイルの基本料金は3GBで2,980円(端末代除く)と決して格安ではない。しかし、J:COMオンデマンドアプリでの動画視聴はパケット代ノーカウント、基本の3GBには一切含まれないというメリットも用意している。

いったい、どういった仕組みなのだろうか?

――オンデマンドサービスについて、制限があっても、基本的には通信し放題をやっていらっしゃいますけど、どうしてそれが可能なのでしょうか?

中馬氏:「確かに厳しいは厳しいんですが、料金で勝負するというよりかはトータルのパッケージングなんです。若干高いですけど、私たちのTVサービスはパケ代かからないということを考慮すれば、それなりにリーズナブルかと思っています」

――具体的な施策としてはどのような?

中馬氏:「お客様にインターネットも提供しているおかげで、お客様のネット環境はSSIDがどういう設定されているかなども含めて僕らで全部把握しています。そのため、コントローラブルだというのが大前提。ここは他のモバイル事業者とはまったく違うところです。公衆Wi-Fiに関してもID・パスワードではなくてMAC認証方式を採用しているので、基本的にはお客さんからID・パスワードを入れるというプロセスが一切ありません。ある一定の範囲内でWi-Fiとセルラーのコントロールが計算の範囲内でできている、これがまずひとつです

――なるほど、Wi-Fiを効率的に使える仕組みがまずあるんですね。

中馬氏:「もう一点はピークトラフィックの考え方です。TVでよく使われるゴールデンタイムがモバイルの場合は23時、つまりTVのゴールデンタイムが過ぎた後にモバイルのプライムがくるんです。TVとモバイルのユニキャストのトラフィックはピークが違うので、比較的コントロールできるんじゃないかなと。なので僕らのセルラーネットワークも23時のトラフィックに合わせて作られています」

テレビ、インターネット、モバイルをすべて自社で提供することでコントロールが可能になるという
テレビ、インターネット、モバイルをすべて自社で提供することでコントロールが可能になるという

――アクセスが集中すると厳しいこともあり得るでしょうか?

中馬氏:「ある程度は想定できているので大丈夫だと考えています。ただ、携帯やインターネットの世界は基本ベースはユニキャストですから、いかに負荷分散の環境を入れるかというのは非常に重要です。オンデマンドのサービスを始めてここ数年も、チャンネルを少しずつ増やしながらトラフィックの流れを見ています。どこにピークがあるのか、どれくらい集中するのか、キャンペーン打ったらどうなるか。そういう地道なことをやってきて、ようやく自社のモバイルでパケット代フリー、という環境にたどり着きました

テレビ離れとコンテンツの力は別モノ

ただ流行に乗って参入したわけではなく、開始に至るまで入念に準備を進めてきたことが伺えるJ:COMモバイルサービス。インタビューの最後に、彼らの見据える10年後の未来というテーマをぶつけてみた。

――ズバリ、10年後にはどのようになっていたいとお考えでしょうか。

中馬氏:「先ほどの通り、僕ら携帯会社と同じようなことをやる気はまったくないんですよ。僕らはTVの会社であり、TV Everywhereという理念を持っています。Wi-Fiモデルのタブレットもすでに出していますが、まだまだ家の中でのEverywhereどまり。外でもどこでもということをずっとやりたくて、そのためにこれまでも着々と準備をしてきました。アプリをリリースしてきて、トライアルをやって、コンテンツを増やして、トラフィックの傾向も見て。その結果、パケットフリーの仕組みだとか、サポートの仕組みを作って、自社のサービスをようやく始めました、というのがいまの段階です」

あくまでTVの会社として「TV Everywhere」を実現させたいと語る中馬氏
あくまでTVの会社として「TV Everywhere」を実現させたいと語る中馬氏

――TV Everywhereという視点でこの先どういう進化がありますか?

中馬氏:「近年、若い人のTV離れだったり、ネットも引かず携帯しか持っていない人が増えている現実があります。ただ、その人たちももちろんYouTubeはお好きでしょうし、ニコ動も観るでしょうし、もっと言えばプレミアム動画コンテンツを求めていないわけでもありません。例えばラグビーワールドカップや錦織さんをライブで見たりとか。これらは有料でしか見れないコンテンツですが、そういう需要は世代に依らないものだと思っています。

一方でそういう番組を見る手段が、TVを買って固定回線を引いてセットトップボックスを設置して、という選択肢しかない現状は、僕は寂しいと思っています。固定回線を引かなくてもTVが見れる世界があればTV離れでもなんでもなくて、観る環境が変化してもコンテンツの力は不変だと思います。そこを実現できるような環境を、僕らは粛々と進化させていきたいと思っています」

ITの世界とは違い、「TVの世界はテクノロジーをいかに感じさせないか、普段慣れ親しんだところから何気なく進化するというのが非常に重要」と中馬氏は続ける。さいごに、「たぶん10年後はもっとスゴいことになっていると思うんですけど、スゴいと感じさせないスゴいことができてたら良いと思いますね」と話してくれた。

ZAQを抱きかかえる中馬氏。取材にご協力いただきありがとうございました
ざっくぅを抱きかかえる中馬氏。取材にご協力いただきありがとうございました

さいごに

MVNO隆盛の中で、ケーブルTVのような業態もモバイル事業を開始するんだな、と漫然と考えてしまっていた。しかし終わってみれば、ただ流行に乗るのではなく、幾重にも準備を重ねたサービス開始だということを思い知らされたインタビューだった。

訪問サポートという、いわば特殊な環境下でモバイルサービスを始めることは、苦労も多く抱えることであるし、モバイル下で安定した視聴環境を維持しつつコンテンツを増やしていくには、さらなる苦難もあるだろう。
彼らの持つコンテンツを、より多くの人により自由なスタイルで提供するための手段、それが今回開始されたMVNOサービスだ。今後の生活の中でTVというものがどのように進化していくのか、非常に楽しみになった。

若者のTV離れや、高齢層のスマホ移行など、業界が抱える問題を解決するカギは、まさにJ:COMが行うような地道なアプローチにこそあるのかもしれない。

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スマホ、ケータイ、docomo、au、ソフトバンク、格安SIMに関する総合情報メディア「Mobareco-モバレコ」の記事コンテンツの制作を監修。スマホのレビュー、サービス解説、ライフハックからトラブルシューティングガイドなどの幅広いジャンルのコンテンツディレクションを手掛ける。『スマホをもっとわかりやすく。もっと便利に。』ユーザー目線に沿ったコンテンツを発信中。Twitter:@mobareco_jp