motorola razr 40 ultraレビュー! 大画面アウトディスプレイで新たな体験を

motorola razr 40 ultra レビュー

折りたたみスマートフォンの登場から数年経ちますが、メインストリームにはまだ遠く、多くの人が1枚板のスマートフォンを選んでいます。

その理由は価格と価格に見合うほどの体験を提供できていないことでしょう。

ただ、2023年8月25日に発売された「motorola razr 40 ultra」は評価を一変させる可能性を秘めています。

折りたたみスマートフォンには、タブレットサイズのディスプレイを半分に折りたたんでポケットに入れて持ち運べるFoldフォンと、スマートフォンをガラケーのように半分に折りたためるFlipフォンの2種類があります。motorola razr 40 ultraもFlipフォンに分類されます

筆者の心を躍らせたのはFoldフォンで、Flipフォンはスマホをガラケーのように半分に折りたためるだけ、というのが正直な印象でしたが、motorola razr 40 ultraには、筆者の認識を改めさせられた巨大なアウトディスプレイが搭載されています

これまでのFlipフォンに搭載されていた小さなカバーディスプレイは時間や通知の確認がメインで、それ以外はおまけのようなものですが、motorola razr 40 ultraのアウトディスプレイは新たな体験や独自の機能を生み出しています

最新のデザインにFlipフォンとして世界最薄を実現した優れたヒンジ、アウトディスプレイがもたらす新しい体験など、Motorolaがもっている技術を集結したフラグシップモデルrazrシリーズの最新作をレビューします

>>>モトローラ公式:motorola razr 40 ultraページ

motorola razr 40 ultraのスペック・パフォーマンス性能

motorola razr 40 ultra
OS Android 13
プロセッサ Snapdragon 8+ Gen 1
アウトディスプレイ 3.6インチ
有機EL
1,066 x 1,056ピクセル
413ppi
リフレッシュレート最大144Hz
ピーク輝度1,100nit
メインディスプレイ 6.9インチ
有機EL
フルHD+ (2,640 × 1,080ピクセル)
413ppi
リフレッシュレート最大165Hz
ピーク輝度1,400nit
メモリ 8GB
ストレージ 256GB
メインカメラ デュアルカメラ
12MP 広角レンズ
13MP 超広角レンズ
フロントカメラ 32MP
バッテリー 3,800mAh
サイズ 開いた状態: 170.83 x 73.95 x 6.99mm
閉じた状態: 88.42 x 73.95 x 15.1mm
重さ 約188g
microSD X
おサイフケータイ X
NFC
防水防塵 IP52
eSIM

※参照元:motorola公式ページ

折りたたみのボディには、価格を抑えつつプレミアムな価値を提供するSnapdragon 8+ Gen 1が搭載されています。一般的なスマートフォンが1秒間に最大60回、多くても最大120回のところ最大165回も画面を書き換えられるメインディスプレイと最大144回のアウトディスプレイは、スクロールなどの基本操作も滑らかでひっかかりはなくパフォーマンスに不満はなし。

「アスファルト9」や「Dead by Daylight」などの高い負荷のかかるゲームアプリも快適にプレイできます

ゲーム画面
アスファルト9も快適にプレイ可能

一方で、8GBのメモリが影響しているのかソフトウェアによる制限なのか、それともそのほかの原因なのかは不明ですが、Googleマップを使わずにしばらくすると、はるかに前に起動したアプリは履歴に残っているのにGoogleマップだけ履歴から消えてしまい、ホーム画面から再び起動する必要がありました。

カメラを構えると短時間でアウトディスプレイ側の発熱を感じたので、サーモグラフィカメラを使って熱検証を行いました。冷房の効いた屋内で15分間の動画撮影を行ったところフルHD/30fps設定では40°C、4K/60fpsでは51°を計測。最高気温35°Cを計測した日に屋外にて本体を開いた状態でカメラを構えて写真を約10枚撮影したところ5分間で37°Cから47°Cに上昇、本体を閉じた状態では39°から50°Cに上昇しました。

アウトディスプレイとメインディスプレイのピーク輝度はそれぞれ1,100nit、1,400nitで屋外でも快適に利用できます。ただし、発熱すると画面の明るさを落とす制御があるのか、特にカメラアプリを利用しているときに画面の明るさが低下して見づらくなる現象も確認しています。

性能を数値化できるベンチマークスコアの計測結果は以下のとおりです。Geekbenchは基本性能に関係するCPUの処理能力、Wild Life Extremeはゲームなどグラフィック処理能力、Wild Life Extreme Stress Testはゲームを長時間プレイした時など長い時間おける性能を表しています。

motorola razr 40 ultraと同じメモリ容量でSnapdragon 8 Gen 2シリーズを搭載した折りたたみスマートフォンのスコアと比べると、GPUについては6割程度に留まるなど開きが出ました。一方、CPUについてはシングルコアで9割、マルチコアで8割と大きな差はありません。

ストレステストにおいて温度上昇の値が30°C前半と非常に優秀な値となっていますが、他の端末に比べて(同テストにおける発熱時の温度は40°Cを超えることがほとんど)極端に低く、手で感じる温度とも大きく乖離しています。

サーモグラフィを用いて温度確認を行ったところ、発熱はアウトディスプレイ側に集中しており、ディスプレイのない反対側の温度と極端な差があったことからベンチマークスコアの温度上昇値はアウトディスプレイと反対側で計測されていると推測できます。

Geekbench 6 Geekbench 5 Wild Life Extreme
シングルコア マルチコア シングルコア マルチコア
1回目 1,782 4,179 1,282 3,793 1,901
2回目 1,773 4,327 1,297 3,969 1,750
3回目 1,806 4,270 1,285 3,820 1,493
平均 1,787 4,258 1,288 3,860 1,714
Wild Life Extreme Stress Test
ベスト ロー 性能低下 バッテリー減少 温度上昇 FPS
1回目 2,827 1,224 43.3% -8% 26°C→32°C+6°C +14fps / 20fps
2回目 2,004 1,218 60.8% -7% 32°C→34°C+2°C +14fps / 20fps
3回目 2,567 1,210 47.1% -7% 29°C→33°C+4°C +15fps / 20fps
平均 2,466 1,217 50.4% -7.3% +4°C +14.3fps

電池持ちはかなり優秀。バッテリー容量は3,800mAhで決して大容量ではないものの余裕で1日使えます。

参考のために、ある1日の使い方を紹介しましょう。

★午前

朝10時に充電器から取り外して使い始め、Googleマップアプリを使って乗り換え検索を行い、GoogleKeepメモを使って原稿を書き、ChromeやInstagram、Threadsなどを利用し、写真や動画を70枚ほど撮影したところ、13時前には残量70%に。

★午後

昼には取材があったので約1時間のテザリングとレコーダーアプリで音声を記録。引き続きGoogleマップで乗り換え検索やルート案内の利用を継続し、最終的に合計200枚以上の写真を撮影したところ、19時で電池切れに。

かなりヘビーな使い方でも使用時間は約9時間に到達しました。レポートを確認したところ、メインディスプレイの使用が約1時間だったのに対して、アウトディスプレイの使用時間は約3時間と、それだけ多くのことを本体を開かずにこなせるだけでなく、画面サイズが小さく消費電力に優れるアウトディスプレイは電池持ちの向上にも大きく貢献します。

5Wのワイヤレス充電や最大30Wの急速充電にも対応。通常の有線充電でも90分で0%からフル充電に到達します

motorola razr 40 ultraの外観・デザイン

motorola razr 40 ultraは直線的なデザインをベースに、エッジと側面に丸みをつけた握りやすい形状を採用。前作のrazr 5Gと横に並べても同じシリーズとは思えないほど、見た目の雰囲気が劇的に変化し、若い世代にも受け入れられる今どきの見た目に生まれ変わっています。

Flipフォンとして極薄のボディは見た目がスリムなだけでなく、折りたたんだ状態でポケットに入れても膨らみを作りません。重さは188gで他のフラグシップスマートフォンに比べれば、軽いためポケットに入れて持ち歩く時も快適。最近のスマートフォンは画面が縦長になり、大型化したことでポケットからはみ出すことも多く、椅子に座っているだけでポケットから落下しそうになることもよくありますが、半分に折りたためるFlipフォンなら心配なし。

新しいアウトディスプレイ
生まれ変わったデザイン
iPhone 14 Proとのサイズ比較
iPhone 14 Proとのサイズ比較

折りたたみボディの外側はアウトディスプレイと2眼カメラ、ラメ加工された背面パネルで構成され、側面のフレームは高級感のあるツヤ仕上げのアルミニウムが使用されています。ガラケーのように隙間に指を差し込んで荒くボディを開いてもゆがまない高い剛性を確保しています。

ガラケーのように開くことができる
ガラケーのように本体を開くことも可能

折りたたみボディのコアである新設計のヒンジはドロップ型を採用することによって本体を閉じたときに隙間を作らず、本体内部の折りたたみできるメインディスプレイへのホコリの付着を防止。故障の原因となる異物の侵入も防ぎます。

新設計のヒンジは折りたたみのディスプレイ特有のシワを低減する効果もあり、画面が点灯している間(折りたたみディスプレイは点灯していることがほとんど)は視覚的に気にならず、スクロールやスワイプといった操作でシワに触れてもわずかな窪みを感じるだけで気になりません。

開いてる図
しわが気にならないメインディスプレイ

ヒンジは硬めで片手で本体を開くときには少し力が必要ですが、約45°から125°の間であれば本体を固定できるため、PCやニンテンドーDSのように机に置いて使うことも可能。

特にスタンド不要で動画が見られるのは便利。何か作業をしながらご飯を食べながら動画を視聴したり、新幹線や飛行機での移動中でもスマホを手に持つことなく動画が楽しめます。

また、折りたたみへの最適化も実施されていて、角度を途中で固定した状態でカメラアプリを起動すると、上半分にファインダーが表示され、下半分にコントローラーが表示されます。YouTubeでは上半分に表示される動画を見ながら、下半分で動画のコメントや関連動画をチェックできます。

スタンドいらずで画面がみれる
スタンドいらずで角度を固定して動画を視聴できる

motorola razr 40 ultraの使って分かったおすすめポイント

motorola razr 40 ultraには、これまでのFlipフォンになかったいくつもの新しい体験があります。

今使いたい機能を即利用できるパネル

アウトディスプレイには時間や通知、日付、天気、気温、バッテリーの残量が表示され、上から下に向かってスワイプするとクイック設定が表示されます

これまでのFlipフォンはクイック設定を利用するだけでも本体を開く必要がありましたが、motorola razr 40 ultraなら巨大なアウトディスプレイを使って、アクセスポイントをオンにしてテザリングを利用したり、フラッシュライトを懐中電灯として使用したり、おやすみモードやダークモード、マナーモードを利用できます。

アウトディスプレイのロック画面
アウトディスプレイのロック画面

側面の指紋認証センサーでロックを解除すると、アウトディスプレイ専用のホーム画面が表示され、カレンダーや天気などのウィジェットやアプリを起動できるパネルにアクセスできます。

使わないパネルを非表示にしたり、利用機会の多いパネルを少ない手数で起動するために並び順を変えるなどのカスタマイズも可能。

本体を閉じたまま天気の詳細を確認したり、Spotifyで配信されている音楽をすぐに再生できます。カレンダーパネルは月表示に切り替えたり、イベントの概要が一覧表示に対応。イベントをタップしても詳細は確認できないのは少し残念でアップデートに期待します。

アウトディスプレイのホーム画面
アウトディスプレイのホーム画面

PayPayなどのコード決済やポイントカードの提示が超カンタン

アプリパネルからは制限なく最短距離でアプリを起動できます。

特にPayPayなどコード決済アプリやポイントカード、スポーツジムの会員証など、バーコードを提示する時はボディを開くアクションいらずで便利。PayPayは残高が不足していてもカバーディスプレイの操作だけでチャージ可能。おサイフケータイには対応していないものの、レジ前でもたつくことなくスムーズに支払いできます。

また、全画面表示をオンにすればレンズの際まで表示範囲が広がるため、TwitterのタイムラインやInstagramのフィード、Gmailの受信ボックス、メールの内容も確認できます。

アウトディスプレイのPayPay画面
アウトディスプレイでPayPayの支払い・チャージも可能

地図アプリとリモコンアプリ

Googleマップを使った経路検索やルート案内も快適でした

通常は地図アプリを起動しながら片手にスマホを持って移動すると落下の恐れがありますが、手のひらサイズなら落下を恐れる必要なし。

アウトディスプレイのマップ画面
地図アプリを利用した経路の確認やルート案内も便利

また、家中にあるリモコンをアプリにまとめられるスマートリモコンアプリを使った家電の操作もカンタン。

一般的なスマートフォンで同じことをやろうとすると、家電の操作を行ったあとに必要がないのに通知を確認したり、SNSを開いたり、動画を見て無駄な時間を過ごすといったことがよくありますが、画面サイズの制約があるアウトディスプレイが無駄な時間を過ごす意欲をほどよく削ってくれるため、必要なアクションを終えたらスマホからすぐに離れることができます。

アウトディスプレイでリモコンアプリも利用できる
スマートリモコンアプリを利用した家電操作も快適

フリック対応の文字入力(課題あり)

アウトディスプレイにはキーボードを表示して文字を入力することもできる。QWERTY入力はもちろん、フリック入力にも対応しています。

例えば、LINEでメッセージを送ろうとするとトーク画面が消えて、フル画面でキーボードと入力中の文字が表示されます。相手のメッセージが長文でなければ、文字の入力中にトーク画面が消えても困ることはなし。そもそも長文で返すときはメインディスプレイを使った方が快適です。

アウトディスプレイのキーボード画面
フリック入力も可能なキーボード

困ったのは日本語入力しようとすると予測変換が2行で表示されて入力中の文字も見えなくなってしまうこと。数文字程度の短文で返す場合は問題はないものの、2行や3行の文章を入力するのはちょっとストレス。

Gboardには予測変換の行数を変更するオプションは用意されていません。また、アウトディスプレイでGboard以外の文字入力アプリを利用することもできません。アッブデートで改善されそうですが、Gboardとの調整が必要になるのであれば少し時間がかかるかもしれません。

コンパクトスマホ愛用者にも

アウトディスプレイにサイズ以外の制約はほぼなく、小さなスマートフォンとして利用できます。

本体を閉じれば、すべての場所に指が届く操作性の良いコンパクトスマホとして、本体を開けば、迫力のある大画面で動画やゲームも楽しめるビッグサイズスマホとして利用できるため、画面サイズの異なる2つのスマートフォンが1台に集約されているようなものです。

最近は高性能なコンパクトモデルが減っていますが、motorola razr 40 ultraはコンパクトスマホ愛用者にとっての有力な選択肢になるかもしれません。

Galaxy Z Flip5とmotorola razr 40 ultraの比較

motorola razr 40 ultraの競合機種はGalaxy Z Flip5です。以下に主なスペックの違いをまとめます。記事執筆時点でGalaxy Z Flip5は日本未発表のため、グローバル版と比較しています。

motorola razr 40 ultra Galaxy Z Flip5
チップセット Snapdragon 8+ Gen 1 Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy
メモリ 8GB 8GB
ストレージ 256GB
512GB:日本発売なし
256GB
512GB
サイズ 開いた状態: 170.83 x 73.95 x 6.99mm
閉じた状態: 88.42 x 73.95 x 15.1mm
開いた状態: 165.1 x 71.9 x 6.9mm
閉じた状態: 85.1 x 71.9 x 15.1mm
重さ 188g 187g
強化ガラス Gorilla Glass Victus Gorilla Glass Victus 2
メインディスプレイ 6.9インチ
リフレッシュレート最大165Hz

ピーク輝度1,400nit
6.7インチ
リフレッシュレート120Hz
ピーク輝度1,750nit
アウトディスプレイ 3.6インチ
1,066 x 1,056ピクセル
413ppi
リフレッシュレート最大144Hz

ピーク輝度1,100nit
3.4インチ
720 x 748ピクセル
306ppi
リフレッシュレート60Hz
ピーク輝度1,600nit
メインカメラ デュアルカメラ
12MP広角レンズ
f/1.5
13MP超広角レンズ
f/2.2
視野角108°
デュアルカメラ
12MP広角レンズ
f/1.8
12MP超広角レンズ
f/2.2
視野角123°
フロントカメラ 32MP
f/2.4
10MP
f/2.2
防水・防塵 IP52 IPX8
Bluetooth 5.3 5.3
おサイフケータイ X ??
NFC
バッテリー容量 3,800mAh 3,700mAh
充電性能 有線充電30W
ワイヤレス充電5W
リバースチャージ:なし
有線充電25W
ワイヤレス充電15W
リバースチャージ4.5W

直線的な形状でスタイリッシュなGalaxy Z Flip5に対して、motorola razr 40 ultraは丸みのある手になじむ形状を採用しています。本体の大きさはGalaxy Z Flip5がよりコンパクト。その分、motorola razr 40 ultraは大型のディスプレイを備えています。

最大の違いはアウトディスプレイの利便性です。どちらもアウトディスプレイを使用して通知の確認やキーボードを使ったメッセージの返信、カメラの撮影映像を確認できるファインダーとして利用できます。ただし、motorola razr 40 ultraは本体を開かずにPayPayを使って支払いをしたり、スマートリモコンを起動して家電を操作するなど、ほぼ制限なくアプリを起動できるのに対して、Galaxy Z Flip5では起動できるアプリに多くの制限*があります。

*Galaxy Z Flip5でもGood Lockアプリを利用することで、アウトディスプレイで多くのアプリを起動できるものの現時点で日本未提供

motorola razr 40 ultraは内外両方のディスプレイがなめらかに動作する高リフレッシュレートもサポート。特にアウトディスプレイのリフレッシュレートには大きな違いがあります。

内外両方ディスプレイのピーク輝度(明るさ)はGalaxy Z Flip5が大きく上回っています。一方で折りたたみスマホならではの課題であるメインディスプレイのシワはmotorola razr 40 ultraの方が明らかに目立たず、実際に指で触れた感覚にも大きな違いがあります。

カメラの画質の違いについてはソフトウェア処理も大きく関係するため、実際に撮り比べた写真を比較しないとなんとも言えませんが、motorola razr 40 ultraは、より明るい広角レンズと超高画素なフロントカメラを備えています。対するGalaxy Z Flip5は、大型のイメージセンサーと、より画角の広い超広角レンズが搭載されています。

耐久性はIP5Xの防塵をサポートするmotorola razr 40 ultraに対して、Galaxy Z Flip5には防塵性能がありません。防水性能は最高等級のIPX8をサポートするGalaxy Z Flip5の方が優秀。強化ガラスも最新のGorilla Glass Victus 2を採用しています。

快適な操作や電池持ちに関わるチップセットは、Galaxy Z Flip5がGalaxyデバイスに特別に最適化された最新のSnapdragon 8 Gen 2 for Galaxyを搭載。対するmotorola razr 40 ultraには、1世代前のSnapdragon 8+ Gen 1が搭載されています。

チップそのものの性能や消費電力はGalaxy Z Flip5が優れています。OSアップデートや機能追加を重ねたり、長期的な利用、リセールバリューなどを考えると最新のチップセットが好ましいです。

Galaxy Z Flip5は高出力のワイヤレス充電と本体のバッテリーをワイヤレスイヤホンなどにシェアできるリバースチャージにも対応しています。対するmotorola razr 40 ultraは有線充電において、わずかに出力の高い30W出力に対応しています。

おそらく日本版のGalaxy Z Flip5は、Z Flip4と同じようにおサイフケータイにも対応するでしょう。スマホをタッチするだけで、スムーズにバスや電車に乗車できます。ただ、現在はSuicaを搭載したスマートウォッチも多く存在しているので、代替方法がないわけではありません。

Galaxy Z Flip5は純正ケースなど豊富なアクセサリが用意されていることも大きな特徴です。

motorola razr 40 ultraのカメラを試してみた

カメラは広角レンズと超広角レンズのデュアルレンズ構成。明るい場所では、ディテールが保たれ、適度にシャープネスの効いた写真が撮れます。HDRが過度に適用されることはなく見た目に近いナチュラルな仕上がりになります

気になったのはディスプレイ側の補正が強いのか、同じ写真を他の機種で確認すると鮮やかさが失われること。ポートレートに最適で望遠圧縮が楽しめない望遠レンズがないのも残念。ズーム撮影はデジタルズームのようで一気にノイズが出現します。

写真①
空の青さなど見た目に近い彩度
写真②
ナチュラルなHDR補正
写真③
窓際の明るい席で2倍ズーム撮影
写真④
やや暗めの店内で2倍ズーム撮影
写真⑤
背景をぼかせるポートレート撮影にも対応
写真⑥
ダイナミックに撮影できる超広角レンズ
写真⑦
ƒ/1.5の広角レンズで夜景も明るく撮れる

カメラはmotorola razr 40 ultraのディスプレイで確認する限りではハイエンドの域に達していますが、他の機種で見るとハイエンドに指がかかるか、かからないかぐらいの評価です。それでもmotorola razr 40 ultraには、折りたたみボディと巨大なアウトディスプレイがもたらす、この機種だからこその新しい体験があり、それは他の機種には存在しないものです。

本体を閉じたまま電源ボタンを2回連続で押すか、2回連続で手首を捻るとカメラが起動。巨大なアウトディスプレイには、カメラの映像が表示されるため、顔の表情や構図を確認しながら高画質なメインカメラを使ってTikTokを撮影したり、超広角レンズを使ってグループショットしたり、4K/60fpsで動画を撮影することもできます。

写真を撮影している図
ファインダーになるアウトディスプレイ

ファインダーになるアウトディスプレイは子どもの目線を集めることもカンタン。無心にカメラに近づいてくるため、構えているだけで「THE DOG」のような表情が撮れるほか、自分の姿を見て自然にほほ笑み、釘付けになるためシャッターチャンスも増えます。

折りたたみスマホだからこその撮影スタイルも豊富です。

本体を開いて机に置けば三脚いらずで手ブレを抑えて撮影できるため、長回しのタイムラプスやVlogを撮影するのに最適。折りたたみの角度を変えれば、ローアングルの撮影も可能。そのまま手に持ってハンディカメラのように動画を撮影し、アウトディスプレイの映像をオン/オフすることで視線誘導もコントロールできます。

ハンディカムのように動画も撮影できる
ハンディカメラスタイルは長回しの動画に最適

こういった体験はこれまでのスマートフォンや折りたたみスマホにはなかったもので、これまでにあったとしてもmotorola razr 40 ultraは巨大なアウトディスプレイによって体験価値を1つ上の段階に押し上げています。

スマートフォンのカメラは画質の進化に集中していて、それに対してつまらないと感じる人や、行き過ぎた進化が価格に反映されることに対して納得できない人もいますが、motorola razr 40 ultraのように、これまでにない価値の提供であれば納得できる人は多いかもしれません。

まとめ

新しいヒンジによって隙間を解消した超薄型の折りたたみボディに、巨大なアウトディスプレイを搭載したmotorola razr 40 ultraは、半分に折りたためるだけでは不十分だったFlipフォンの価値を高め、新たな体験を生み出すことに成功し、Flipフォンがあるべき姿を見出したと思います。

筆者のお気に入りの機能は折りたたみボディとアウトディスプレイのコラボが生み出す、普通のスマートフォンでは撮れないような写真や動画を撮影できるカメラで、子どもの表情をより良く撮りたい親にとってはキラーコンテンツになるはず

特にスマートフォンから消えてしまったワクワク感を求めている人におすすめします。課題のある日本語入力など、ソフトウェアの少しぎこちないところも受け入れられるでしょう。

motorola razr 40 ultraの販売価格はモトローラ公式オンラインストアで155,800円、IIJmioで通常価格139,800円。発売日は2023年8月25日。

なお、購入特典として落下や衝撃などでディスプレイが破損・故障した時に1回無料で交換修理が可能な「ディスプレイ破損1回無料サポート」が付いてきます。保証期間は購入日から12ヶ月。メインディスプレイ、アウトディスプレイともに保証対象です。

>>>モトローラ公式:motorola razr 40 ultraページ

この記事の編集者

モバレコ編集者:シーモ

モバレコ編集者:シーモ

格安SIM・スマホジャンルを3年以上担当。
モバレコ編集部に着任後、ドコモ→ahamo→mineoに乗り換えるなどフットワークが自慢。
実際に選ぶ・乗り換える経験で得た目線を大事にしています。
良い所はもちろん悪い面もわかる、読んでいて納得感のある記事作りを心がけています。
推しはmineoとIIJmio。

この記事を書いた人(編集:モバレコ編集部)

プロフィール

モバレコでは、2015年からレビュー記事を中心に寄稿しています。

また、スマートフォンやタブレット、アプリ、サービス、アクセサリを総合的に取り扱うモバイル専門のメディア「携帯総合研究所」を個人で運営。発表会の取材はもちろん、前職はシステムエンジニアでプログラミングの経験をいかして3キャリアの料金を比較できる料金シミュレーターなども開発しています。

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