スマホの基礎知識「CPUって何?」
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スマホ購入時にどうしても気になるのがスペック。特に格安SIMを利用する場合は、最新端末以外にも手頃な価格のモデルを選ぶなどの選択肢が増えるので、チェックする人は多いでしょう。ところがこのスペック、単なる数値の比較に見えますが実際はそうではないのです。
まずはCPUの構造を理解して、今後の端末選びの参考にしましょう。
目次:
CPUの性能が高いってどういうこと?
CPU(Central Processing Unit)とは、コンピューターがさまざまな処理を行うための演算処理装置のことで、スマホのいわば頭脳に当たります。このチップはほぼ例外なく、CPUメーカーが開発・製作を行ったものをスマホメーカーが採用して搭載しています。従って、端末のメーカーは異なるけれどCPUは実は同じもしくは同様のもの、ということは多々あります。
大きく差が出るのは、このCPU自体の性能です。基本的に最新のものは性能が高いか価格が低い場合が多いです。「CPUの性能が高い」と言っても、それは「動作が速い」「消費電力が少ない」「小さい」「複雑な処理ができる」など、特徴はさまざまです。しかし基本的には「高速に処理できる=高性能」という図式です。また、CPUに施される高速化技術は、クロック周波数の向上、キャッシュメモリーの増強、マルチコア化など、多岐にわたります。
クロック周波数が高ければCPUの性能は高い?
クロック周波数は、そのCPUが動作する速度の目安になる数値です。基本的に数値が高い方が、高速に動作する性能の高いCPUということになります。先述したとおり、CPU自体の性能は速度だけでは判断できませんが、「同じCPUであれば、クロック周波数が高い方が高性能」ということは言えます。
ただしクロック周波数自体の向上は、CPUの性能が上がらない限り望めないので、結局は数値の高いCPUは実際に高性能なことが多いのです。例えば「クロック周波数2.5GHzのMSM8974AC」「クロック周波数2.7GHzのAPQ8084」を並べたところで、どちらが速いのかはっきりわかりませんよね。ただし「たぶん2.7GHzのほうが速いのではないか」という予想は立つと思います。そして実際の性能も、APQ8084の方が上です。
スマホもCPUとクロック周波数を宣伝に使う時代に
スマホの黎明期には、そのデバイス自体の物珍しさもあってスマホのCPUまではあまり注目されていませんでした。しかし以前からパソコンの性能を謳うのに、各PCメーカーはCPUのチップ名とクロック周波数を掲げて宣伝にも使っていました。より高速な数値を謳えば、より高性能だとアピールできるというわけです。スマホ市場が瞬く間に飽和し、以前のパソコンと同様の新機種合戦が始まってからは、各キャリアもスペックをつまびらかにするようになり、CPUとクロック周波数を公開するようになってきました。
デュアルコアにクアッドコア、スマホはどうしてマルチコア化するのか?
今では、スマホのCPUのマルチコア化は当たり前になってきました。数が増えると速くなる、と考えると単純な話に思えるかもしれませんが、マルチコア化によるパフォーマンス向上は、それほど単純なものではありません。
ハードウェア面においては、高速化のためシングルコアのクロックアップが押し進められてきました。しかし消費電力の高さと、それに伴う発熱量の問題などで頭打ちとなり、クロック周波数は抑えながらもコア数を増やすことで並列処理能力を高め処理速度を上げるというマルチコアの採用が増えてきました。コアが2つのものを「デュアルコア」、4つだと「クアッドコア」と呼びます。現在のスマホは多くがデュアルコア以上で、ハイスペックモデルはクアッドコアを採用しています。中には、ファーウェイ社のAscend Mate7のように合計8個のコアを持つ「オクタコア」のモデルもあります。
マルチコアを活かすにはOSとアプリの対応が必須
ただし、単純に数を増やせばそれだけ高速化できるというものではありません。コア数が増えれば、それを活用するためのプログラムが必要になります。スマホの場合、OSやアプリなどのソフトウェアが対応している必要があるというわけです。
例えば、アップル社のiPhone 6 Plusは、クロック周波数1.4GHzのデュアルコアCPU「A8」を搭載しています。ハイスペックスマホとして注目されているファーウェイ社のAscend Mate7は、クロック周波数1.8GHzのARM Cortex-A15と1.3GHzのCortex-A7を組み合わせ、合計で8基のコアを搭載するオクタコアCPUのスマホです。ハードウェアスペックでの比較では圧倒的な差がありそうなこの2機種ですが、総合的なベンチマークテストの結果ではiPhone 6 Plusが上回りました。
上記がBasemark OS IIのスコア。デュアルコアのiPhone 6 Plusが、オクタコアのAscend Mate7をすべての項目において上回りました。なぜでしょうか?
Ascend Mate7のオクタコアは、高い処理能力と共に省電力でも活躍するCPUになっており、単純に高速化のみを狙ったCPUではないわけです。一方、iPhoneが搭載するA8は台湾のTSMC社製のCPUですが、設計はアップルが行っています。同社はiOSや基本的なアプリの開発も行っており、A8は、言わばiPhone専用のスペシャルチューンドCPUです。汎用OSのAndroidを搭載する端末に比べて、すべてを自分たちで開発しているアップルのiPhoneが、スペック以上の性能を発揮したわかりやすい例です。
まとめ
スマホのCPUについて、簡単にまとめてみました。実際のパフォーマンスについては、アプリの種類はもちろん、動作中のアプリの数、通信速度、ストレージの容量やRAMなど、あらゆる要素が影響してきます。とはいえCPUはスマホ内部の中心的な存在。端末選びの際には参考にしてください。