ついにiPhoneもワイヤレス充電「Qi」に対応!使ってみて感じたメリット・デメリット

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iPhoneはシリーズ名が変わるごとに新機能を加えてきましたが、iPhone 8シリーズ以降は、ついに「ワイヤレス充電」に対応しました。
ケーブルへの接続不要で充電できる、その使い勝手や性能は? 実際に検証して実力をチェックしてみましょう!
目次:
iPhoneが対応したワイヤレス式充電「Qi」とは?

iPhone 8では本体背面の素材をアルミニウムからガラスへと変更しました。理由はいくつか考えられますが、今回のリニューアルの特徴でもあるワイヤレス充電規格「Qi(チー)」へ対応するためだと思われます。
まずはワイヤレス充電の基礎知識として、この「Qi」というものをちょっとだけ知っておきましょう。Qiというのは、ワイヤレスパワーコンソーシアム(Wireless Power Consortium)が策定したワイヤレス給電の国際標準規格。
まぁ、ざっくり言えば、現在最も広まっていて、規格化されているワイヤレス式の充電システムですね。Appleのスマホでは今回のiPhone 8で初めて採用されましたが、AndroidスマホではサムスンのGalaxyシリーズや、GoogleのNexusシリーズの一部など、数年前からすでにこの規格に対応している機種もあります。

ワイヤレス充電はどうやるの?
Qiを利用した充電は、規格上「ワイヤレス」と言われています。しかし、Wi-FiやBluetoothなどの通信とは違い、離れていても勝手に充電できるというわけではありません。性質的にはSuicaやnanacoなどのような非接触ICカードに近く、充電する端末をQi対応のワイヤレス充電パッドの上に「置く」必要があります。
また、あくまでも充電手段のひとつとなるので、iPhone 8にはワイヤレス充電パッドは付属していません。大事なことなのでもう一度言います。
ワイヤレス充電パッドは別売りでございます!
iPhone 8を実際にワイヤレス充電してみた
では早速、本題のiPhone 8でのワイヤレス充電を解説していきましょう。先程述べたようにワイヤレス充電パッドは別売りなので、Amazonなどから購入しましょう。
今回はRAVPOWER製のQi対応ワイヤレス充電パッドを用意しました。Qi対応のワイヤレス充電パッドには5Wモデルと大出力な10Wモデルがありますが、こちらは10W出力に対応したモデルのようです。

ワイヤレス充電パッドを電源に接続し、iPhoneを置くと即座に充電が開始されました。これは手軽ですね! ただし、iPhoneの充電用コイルが内蔵されている中央付近に置かないと、充電されないのでご注意を。具体的な位置は以下のようになります。

上過ぎても、下過ぎてもダメ。感覚的にはりんごマークのちょっと下。まさに中央付近を充電ベースの中央に置くようにしましょう。

TPU素材の保護ケースを装着したまま充電パッドに置いてみましたが、こちらも問題なく充電が開始されました。あまりにも分厚いケースだと充電できないこともあるようですが、一般的なケースであれば問題ないみたいですね。

物は試しと金属板(真鍮)をワイヤレス充電パッドとiPhoneの間に挟んでみたところ、こちらは充電不可。ワイヤレス充電したいなら金属製ケースは選ばない方がよいでしょう。

ケース素材による相性はあるものの、Qiの規格に沿ったワイヤレス充電パッドであれば、メーカーを問わず充電できます。以前購入していたAnkerのワイヤレス充電パッドでも充電OKできましたよ。
気になる充電時間。満充電までの時間を計測

ワイヤレスの実力を測るために、iPhone 8が満充電されるまでの時間を計測してみました。バッテリーを空にしたiPhone 8をワイヤレス充電パッドの上に置きます。バッテリーが空の状態でも充電できるらしく、画面に低残量充電中を示すマークが点灯しました。
この期、1分50秒で電源が付き、バッテリー残量は「3%」。17分を経過した時点でやっと10%まで回復しました。有線での接続であれば、もう30%は超えてても良い時間なので、やはりワイヤレス充電は出力が控えめです。その後、チラチラ横目で見つつ定期的にチェックしてみた経過は……
- 1時間20分で40%
- 2時間30分で70%
- 3時間30分で97%
- 3時間43分51秒で100%
もういい加減時間測らなくてもいいかなぁ……というくらいのスローペースです。総じてスマホへの充電は本体への充電が進むほど充電速度が鈍足化する傾向があるため、2時間30分経過した段階でまだ70%という事実を目の当たりにして軽く絶望しました。

午後から始めた計測だったため、100%になった時にはもうすでに周囲は薄暗くなっていましたとさ。急ぎの時はワイヤレスは使わない方が良いでしょう。
なお、Appleによれば将来的にソフトウェアアップデートで最大7.5Wの高速ワイヤレス充電にも対応すると述べています。今回のワイヤレス充電パッドは10W対応品でしたけど、つまり現状では充電パッドの出力が5Wだろうが10Wだろうが、ソフトウェアで制限されている以上その速度に大きな違いは無いのかもしれませんね。
ワイヤレス充電のメリット・デメリット
良いところがあれば、そうでないところもある。テクノロジーにおいて利点・欠点は表裏一体です。iPhone 8をワイヤレス充電で運用してみて感じたメリットとデメリットを紹介しますね。まずはメリットから。
使ってみて感じたワイヤレス充電、2つのメリット
1.ケーブルや端子類を痛めることがない

充電するためにLightningケーブルを接続しなくても済むため、ケーブルやLightning端子を痛めることがありません。特にLightningケーブルは首のあたりが弱いと言われていますし、抜き差しを繰り返すことで端子部も摩耗していきます。そういったリスクからさようならできるのは大きなメリットです。
2.ただ置いておく。という行動が意味のあるものになる

まさにこれです。ワイヤレス充電というものはこれを得たいがための機能だと言えるでしょう。例えば会社に着いたらデスク上のワイヤレス充電パッドの上にiPhoneを置いておく。ランチに出かける時はiPhoneは持っていくでしょうけど、帰ってきたら再び所定の位置に再び置く。その置いている、全ての時間が充電時間になるわけです。
これまで「スマホを置く」という行動にはペーパーウェイトとしての意味しかありませんでした。しかし、iPhone 8。今後発売されるiPhone Xでワイヤレス充電に対応したことで、「スマホを置く」という行為が充電という意味のある行為に置き換わるのです。
使ってみて感じたワイヤレス充電、2つのデメリット
1.結局はケーブル必要なんです…

充電のたびに毎度毎度ケーブルを抜き差しするといった面倒なフローは不要になりますけど、結局ワイヤレス充電パッドへはACアダプタからUSBケーブルで接続する必要があります。
つまり、充電手段が変わっただけで、デスクの上に這うケーブルの数は変わっていないのです。ワイヤレス充電になったからデスクの上がスッキリするぞ! というのは幻想です。
2.とにかく充電速度が遅い!
検証結果でも答えが出ましたけど、充電速度はあんなもんです。バッテリーがゼロの状態から満充電しようと思ったら3時間半程度は覚悟しておきましょう。ゆっくりちびちびと増えていくくらいです。今後のアップデートでワイヤレス高速充電に対応したら話はまた変わってくるかもしれませんけどね。
今買うならこれ? おすすめなワイヤレス充電パッド
iPhone 8にはワイヤレス充電パッドが付属していないので、自力で選んで購入する必要があります。今選ぶとしたら、将来的に7.5Wの「高速ワイヤレス充電」に対応するとAppleストアで明記されている以下モデルが個人的にはおすすめです。
・mophie wireless charging base
・Belkin Boost Up Wireless Charging Pad
また、今すぐというわけではないのであれば、来年登場予定のApple純製ワイヤレス充電ベース「AirPower」を待つのも正解かもしれません。

こちらはiPhoneだけでなくAppleWatchやAirPodsを含め、マット上の好きな場所に置けば充電できるみたいですよ。1台で複数の機器を充電できるため、ケーブルの数を減らすことができるという画期的なワイヤレス充電パッドです。本当に欲しい。
今回記事で使用しているワイヤレス充電パッドは以下のモデルになります。
・RAVPower Alpha Series Fast Charge Wireless Charging Pad(非接触充電器)
まとめ:強力ではないにせよ、充電し忘れを防ぐためにワイヤレス充電は効果的
上で解説したとおり、ワイヤレス充電のメリットとデメリットはシンプルです。日常生活の中のたったひとつの「接続する」という手間を減らしたいのであれば、ワイヤレス充電は非常に便利な新機能でしょう。
今後は、いつも通りただiPhoneを置いておくだけで、常にiPhoneのバッテリーは充電されます。充電し忘れというトラブルは過去のものになるのではないでしょうか。

また、iPhone 8以降はワイヤレス充電に対応しただけで、引き続きLightningケーブルでの充電もできるので安心しましょう。条件を満たした大出力ACアダプタを利用すれば、高速充電も可能。ワイヤレス充電と使い分けると良いでしょう
最後に、もう1点。ワイヤレス充電パッドを選ぶ際に、僕からアドバイスがあります。たいていのワイヤレス充電パッドは滑り止めのために、スマホに接する面にはシリコン素材が利用されています。

黒はホコリが目立つから、なるべく白系がいいと思います!