IIJが1枚のSIMでドコモ回線とau回線を切り替えられるSIMを提供開始!対象はIoT機器向け
インターネットイニシアティブ(IIJ)は2026年8月27日、1枚のSIMでNTTドコモ網とKDDI網を切り替えて使える「IIJマルチプロファイルSIM 2.0」の提供を開始した。SIMスロットが1つしかない機器でも2キャリアで冗長化できるのが特徴だが、対象はIoT分野で、個人向けスマホ用のサービスではない。
- 1枚の物理SIMにNTTドコモ網とKDDI網の通信プロファイルを格納し、利用環境に応じて切り替える
- SIMスロットが1つの機器でもキャリア冗長化ができるのが要点
- ドコモ網とKDDI網のデータ容量をキャリアをまたいで合算・共有できる。どちらで通信しても同一料金体系
- 対象は製造業・自治体・インフラ/設備管理事業者・決済端末など。個人向けスマホ用ではない
- 対応デバイスは7社が提供済み、4社が対応予定
目次
1枚のSIMに2キャリア分のプロファイルを入れる
IIJマルチプロファイルSIM 2.0は、1枚の物理SIMにNTTドコモ網とKDDI網の通信プロファイルを格納し、利用環境に応じて回線を切り替えて使えるソリューションだ。IIJはドコモ網とKDDI網の両方を自社で提供するマルチキャリアMVNOで、この強みと独自に確立した回線冗長化技術(特許取得済み)を組み合わせて製品化したとしている。
最大の特徴は、SIMスロットが1つの機器でもキャリア冗長化ができる点にある。従来のSIMでは1枚につき1キャリアしか使えないため、冗長化するにはSIMスロットが2つ必要だった。切り替え条件はデバイス側で設定でき、死活監視や電波強度の測定にもとづいて制御できる。インターネットを経由しない閉域接続にも対応する。
2回線のデータ容量を合算できる
コスト面では、NTTドコモ網とKDDI網の契約データ容量をパケットシェアでキャリアをまたいで合算・共有できる。回線ごとに容量が偏っても全体で無駄なく使えるとしている。
さらにどちらのキャリアで通信しても同一の料金体系で、回線を切り替えても通信コストが変わらない。なお、プレスリリースに料金の記載はない。
先行採用は駐車場の精算機、対応デバイスは7社
先行採用されたのは、駐車場設備機器メーカーの株式会社アイテックだ。同社の駐車場システムでは精算機や監視カメラがモバイル回線で管理センターと常時接続されており、通信障害が起きると決済や遠隔監視が停止するリスクがあった。一方でIoTルータの多くはSIMスロットが1つで、通常のSIMでは単一キャリアしか使えないという課題があったという。

採用理由としてIIJは、既存の機器構成や設置スペースを変えずに2キャリアでの冗長化を実現できること、両回線とも国内キャリア網で通信品質が安定していること、そして現金で完結していた精算機もキャッシュレスが主流になり通信前提の機能が増えたことを挙げている。
対応デバイスは、IDY・アムニモ・インタフェース・コネクシオ・ザイン・モバイルテック・センチュリー・システムズ・富士ソフトの7社が提供済み。アットマークテクノ・NECマグナスコミュニケーションズ・サン電子・マイクロリサーチの4社が対応を予定している。
解説・コメント
「1枚のSIMでドコモとauを切り替えられる」と聞くと自分のスマホでも使えそうに思えるが、これはIoT機器向けのソリューションで、個人が契約できるものではない。IIJの個人向け格安SIM「IIJmio」とも別のサービスなので混同しないようにしたい。
ではスマホで同じことができないかというと、手段は別のかたちで存在する。最近のスマホの多くはデュアルSIM(物理SIM+eSIM、またはeSIM2つ)に対応しており、2社の回線を1台に入れて使い分けられる。片方が通信障害を起こしてももう片方に切り替えられるので、冗長化という目的は達成できる。
今回のソリューションが解いているのは、そもそもSIMスロットが1つしかなく、eSIMにも対応していない機器という制約だ。駐車場の精算機のように、設置済みの機器を入れ替えずに冗長化したいケースで効いてくる。逆に言えば、デュアルSIM対応のスマホを使っている個人にとっては、すでに選べる手段があるということでもある。
キャッシュレス決済の普及で、これまで通信を必要としなかった機器が次々とネットにつながっている。街なかの端末が止まらないための仕組みが整っていく流れとして見ると、身近な話でもある。





