スマホからガラケーに戻した、私の3つの理由! スマホ断ちをして気づいたこと【みんなのスマホ】
カテゴリ: #スマートフォン
いまや、携帯といえば「スマホ」が当たり前になってきていますよね。
なんでスマホを持っているのか、なんで変えたのか、という理由を
深く考えたことがある人は、そう多くはないのでしょう。
そんな中、「スマホ」のある生活の中で感じた疑問や違和感、
そして、自分自身のライフスタイルとも向き合いながら、
少しずつ「スマホ」とのつきあい方を変え、
半年前に「ガラケー」に機種変をしたのが、イラストレーターの近藤 愛さん。
近藤さんは、なぜ「スマホ」から「ガラケー」に変えたのでしょうか?
インタビュー企画『みんなのスマホ』、今回は“スマホとの距離”についてがテーマ。
ガラケーに戻した理由や心境の変化、今のライフスタイルについて、たっぷりお話しをうかがいました。
<プロフィール>
近藤 愛(こんどう・あい)
イラストレーター、デザイナー。
1978年生まれ。東京都在住。武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科卒業。デザイン会社に勤務する傍ら2010年より絵を描きはじめる。2013年よりフリーランスとして活動中。
目次:
1)人と会っているとき、スマホを見てるのが寂しかった!
――ガラケーに変えたのはいつですか?
ガラケーに機種変したのは、今から半年前のことです。それまで、1年半iPhone 5sを使っていて、その前はAndroidのテンキー付き3G携帯でした。
――なるほど、AndroidからiPhoneに! でも、iPhoneは2年の期間を待たずに変えているんですね
仕事でMacを使っていましたし、まわりもみんなiPhoneだったので、一度は持ってみたい!という好奇心があってiPhone 5sを使いはじめたんです。それが、ちょうどフリーランスとして始動したタイミングでもあったので、仕事の電話もかかって来るし、プライベートのメールやLINEもくるっていう感じ。さらに時計見るのもiPhone、写真撮るのもiPhone、休憩時間もiPhoneでツイッター開いたりして・・・。あんまりにも便利で、いろいろな機能が1つに集約されているので、生活の中でiPhoneを見ている割合が多かったんです。
会社員のときは、仕事中に自分の携帯を見ることはほぼありませんでしたから、急に自分の生活の中で携帯の存在が大きくなって、ちょっと“Too much”な感じになっちゃったというか。「ないといけない!」みたいになっていることが怖いなぁ、と思って、その違和感みたいなものは、iPhoneに変えてから半年くらいで既に感じていましたね。
――なるほど・・・。わたしもiPhoneユーザーですが、同じように「ないと困る!」という域に達しています。スマホユーザーのほとんどが、そんな風に思っているかもしれませんよね?
最近は、電車に乗ってもみんなスマホを見ているし、友達と会っていても、みんながスマホを見ていたりするじゃないですか。それに「ぎょっ!」って思って。友達と会っているときは特に、せっかくリアルに会えているのに、心はここにいない感覚というか。なんだかとても寂しい気持ちになってしまって。自分も油断するとやってしまっていたんですけどね。
――ありますね。突然の無言……そしてなにかを打ち込む一同……みたいな。たしかに、バーチャルの逆じゃないですけど、いるのにいない! って感じ、とても悲しくなりますね。そして、その違和感に耐えられずにiPhoneをやめちゃおうと?
いや、最初はすぐにガラケーに変えるって感じではなくて、いろいろな「実験」からはじめてみたんです。
2)スマホを持たないで、外出をする勇気が欲しかった!
――「実験」、それはどんな・・・?
Androidを使っていたときなのですが、友達とある駅で待ち合わせをしていたんです。その日に限ってたまたまケータイを自宅に忘れてしまって。取りに帰ろうか迷ったんですけど、時間的にもそのまま待ち合わせ場所に向かうことにしたんです。そしたら、ちゃんと待ち合わせできたんですよ!って、本当は当たり前のことなんですけど、連絡を取れない状況でも、ちゃんと約束通りの時間や場所で友達と会えたことが嬉しくて!
友達には、後からケータイ持っていなかったと伝えたら、「何かあったらどうするの!」って叱られましたけどね(笑)でも、その待ち合わせの出来事で、ケータイやiPhoneに依存していることに自覚して・・・。
それでまずはiPhoneを持たずに近所を出かけるところからはじめてみました。
それで機能の分散を始めたんです。
――ほぉ! 分散というと・・・
腕時計とデジカメを買ったんです。時計を見る時は腕時計を、写真を撮る時はデジカメを、という風に、今までiPhoneに頼っていた機能を、iPhone以外に持ってみようと思って。なんとなく見ちゃう、なんとなく持っちゃう、っていう一種の中毒だったので、1年近くかけてiPhoneとの距離を測っていったというか。
あと今年(2015年)の正月は、「あけましておめでとう」ツイートをしてから、iPhoneの電源を切って“スマホ断ち”をしてみたんです。
同様に“パソコン断ち”も同時に決行して、行けるところまでやってみようと思ったんですけど、結局3日くらいでしたね。
――段階的に距離を置いていったんですね。でも、今ガラケーを愛用しているということは、「実験」でなにか答えが出たわけですよね?
“ネット断ち”をしたことが、思っていた以上に清々しい体験だったので、今度は「通話は、電話機(ガラケー)でしたい!」という気持ちになりました。
この頃には機能の分散にも慣れてきていたので、iPhone=携帯電話ではなく、パソコンの“子機”という感覚で。だから、iPhoneで電話をすることは、パソコンに耳をくっつけているような気がして違和感があって。「電話機が欲しい!」って思いはじめていたんです。それで、今年の5月くらいにauショップに行った時に、機種変するつもりで行ったわけではないのに、いろいろ身の回りの断捨離をしている勢いも手伝って、ガラケーに変えちゃったんですよ。
――おーー! ついに! やっぱり、そういうのって勢い、大事ですよね?
以前からガラケーの機種のチェックはしていたんです。一番シンプルなものにしたくて。本当はカメラもいらないくらいなんですけど、そうなるとキッズ用か、らくらくフォンしかないんですよね。文字は大きくなくていいので、妥協してカメラ機能が付いているものにしました(笑)
折りたたみ式なんですけど、こういうタイプは本当に久々で。出る時にいちいちパタパタ開いたり閉じたり。お知らせの小窓も控えめなのもよくて、なんだか、かわいいです(笑)
元々電話をかけるのが苦手だったんですけど、電話をかけるのが好きになりました。ここからは電話しかかかってこない。音が鳴ったら出ればいい。という機能のシンプルさがいいなって。最近は、ちょっとした連絡とか、メールするより電話の方が早いかなっていう時は直接電話しちゃうので、びっくりされることがありますけど、今用事があって、今確認したいから、今電話するっていう後回しにしない感じも、いいと思ってます。
3)SNSやLINEをする時間を減らしたかった!
――ガラケーに変えてみてどうですか?
スッキリしましたね。いろいろな切替がしやすくなって、「今ここにいる」っていう意識が強くなったというか。目の前のことに集中できるようになったんです。ガラケーだと見てても特に何もないですし、無駄に見ないんですよ。
だからか、充電も3日くらいは余裕で持ちますよ。それに、視線が上がった気がします。今まで気づかなかった景色に出会えることもあって。iPhoneを使っていた時は、いかにまわりが見えてなかったか、ってことですね。
――そして、ついにiPhoneとの決別をしたわけですね
それが……パソコンの子機としてはまだ使っているので、完全に決別はできてないんです(笑)
主に家で使っているので、普通に携帯機能として使っていたときとはちがいますが、繋がる環境にいるとまだちょこちょこ見てはいますね。主に使っているのは、ツイッターやLINE、あとは画像の検索とか資料探しの時に使うこともありますね。LINEは、家を出る前までは使っているのですが、家を一歩でたら見れなくなってしまうので、今では、待ち合わせ前とか急な連絡は、直接、ガラケーに連絡してもらうようにしています。
――iPhoneに戻りたいと思うことは?
ガラケーに変えてすぐは癖が抜けてなくて、ネットできないのにガラケーを見てしまっていたり、外でツイートしたいと思ったんですけど「そっか、ガラケーだからできないんだ」って思い直すことがあったり、ちょっとふらふらしてたんですけど、今は特に戻りたいという欲求はありません。
でも、たまに恋しくなるのは、スマホの地図機能。ガラケーにも備わってますが、やはり、Googleマップは使いやすいし見やすし便利ですよね~。指で拡大縮小できるのってすごいなーって。
今になって思うのは、まだわたしが会社員だったら、普通にスマホを使い続けていたかもしれないな~ってこと。会社という場所があって、仕事とプライベートで連絡ツールは別々になっていたので、そこまでスマホに依存することもなかったんだと思います。スマホにいろいろな機能が集約されることも、悪いことではないはずなんですよね。いろいろな機能を分散させることによって、断捨離したのにどうしても物が増えちゃうっていうのは、どうなんだろうって思うこともあります(笑)
スマホもガラケーも結局は、距離とつきあい方なのかなって。それは、人にそれぞれに合うスタイルがあるんだと思いますけど、今のわたしの場合は、それがスマホよりガラケーだったってこと。結局、iPhoneも使っていますが、役割も距離も以前とは違うので、とっても新鮮です。
――電話機能を分散させたことによって、iPhoneはいい距離感で近藤さんの生活の中にあるんですね。
スマホってやっぱり便利ですよね。でも、そこに依存しはじめてしまうと、生活のリズムや感覚まで狂ってしまうっていうことなのでしょう。大事なのは、なんとなく持つのではなく、スマホが自分にとってどんな役割をもっているものなのか、ほんの少し意識を傾けることなのかもしれません。スマホにもガラケーにも、それぞれのよさがあるし、人によってフィットするスマホや携帯電話との距離があるのだなぁ、と近藤さんのお話しを聞いて感じました。
今年も終わりに近づき、大掃除をしたり身の回りを整える時期。スマホの使い方や役割についても、年内にあらためて見つめ直してみると、新しい年をより心地よい距離で迎えられるかもしれません。
近藤愛さん、お忙しいところお話しいただきまして、ありがとうございました!
(取材・文/内海織加)
(撮影/勝俣利彦)
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