ZenFone 7 レビュー! フリップカメラが楽しい高性能スマホ
「ZenFone 7」は、2020年10月23日に発売されるASUS製のAndroidスマートフォンです。
1年前のZenFone 6からさらに進化した最新フラッグシップモデルで、5Gにも対応しました。
カメラ部分が回転して高画質な自撮りやダイナミックなパノラマ写真も撮れる「フリップカメラ」が特徴です。
この記事では、ZenFone 7の外観デザインやスペック、カメラ性能などを、実際に使ってみた感想も交えてレビューします。
目次:
ZenFone 7の外観デザイン:美しいグラデーションカラーで高級感抜群!
まずは外観デザインからチェックしていきましょう。
同じくフリップカメラが特徴ということもあって第一印象は前機種のZenFone 6と似ており、よく見ると指紋センサーが他の場所に移動したので背面はスッキリ。
また、カメラが2つから3つに増えました。
メタルフレームにガラスパネルを組み合わせたボディは重厚感があり、落ち着いた色使いにも高級感が漂います。
試用機のカラーは「オーロラブラック」。見る角度によっては真っ黒なボディに青いASUSロゴが入っただけのクールな印象ですが、光が当たると全体が青っぽく輝くという凝った加工がされています。派手すぎず特別感のある、フラッグシップモデルらしいデザインです。
大きな特徴は、カメラ部分が開いて180度回転する「フリップカメラ」です。ZenFone 6の2倍、20万回の開閉テストをクリアしたということで、1日あたり約100回開閉するとしたら5年間使い続けても大丈夫という計算になります。
ZenFone 6は超広角+広角のデュアルカメラでしたが、ZenFone 7は超広角+広角+望遠のトリプルカメラ。フリップさせればインカメラとしても使えるので、自撮りでも外側と同じ高性能なカメラで撮れます。
この「トリプルカメラを丸ごと回転させる」というギミックは世界初、ZenFone 7にしかない機能です。
フリップカメラのもう1つのメリットとして、カメラが前後兼用ということはもちろん自撮り専用のインカメラは不要になります。
このおかげで、画面をさえぎるノッチ(切り欠き)やパンチホール(穴あき)がなく、ゲームも動画も全画面で隅々まで欠けずに表示できます。
SIMカードトレイは、nano SIMカード2枚とmicroSDカードを同時に入れられるトリプルスロット仕様。デュアルSIMとmicroSDを同時に使える機種は貴重です。
電源キーは少し大きめで、指紋センサーが内蔵されています。
フレーム部分はつや消しのブラックで、縁だけ銀色に磨き上げられています。底面にはUSB Type-C端子とスピーカーがあります。
純正ケースが付属する機種は最近では珍しくなくなってきましたが、ZenFone 7には2種類もついてきます。
1つは従来の付属品と同様のクリアケースで、もう1つには少し変わった機能があります。
ZenFoneのロゴが入った黒い純正ケースで、一見普通のハードタイプのケースに見えますが、カメラ周りに注目。スライド式のロックが付いていて、フリップカメラが不意に開かないように保護してくれます。
もちろん、フリップカメラはしっかり耐久性をテストしているのでこのケースに頼らなくても突然開いてしまうことはありませんが、ロックしておけば「どこかに引っかかって無理に開いてしまった」という心配もなくなりますし、アクティブに動き回る人に活用してほしい付属品です。
ZenFone 7の画面サイズは6.67インチで、大きさは約165×77.2×9.6mm。重さは約230gです。
最近のハイスペックスマホは5G対応のためのアンテナを詰め込む都合などもあって大柄な機種が多いですから、ZenFone 7が特別大きい・重いというわけではありませんが、やはり200g超えということでそれなりにずっしりとくる重さです。
片手操作やポケットに入れることが多い人は、購入前に一度実物のサイズを確認しておいた方が良いでしょう。
ZenFone 7のスペック:高性能CPU&大容量バッテリーで余裕の性能
ZenFone 7のスペック表
CPU | Qualcomm Snapdragon 865 |
---|---|
メモリ(RAM) | 8GB |
ストレージ(ROM) | 128GB |
ディスプレイ | 6.67インチ 90Hz 有機EL |
バッテリー容量 | 5,000mAh |
充電端子 | USB Type-C |
OS | Android 10 |
ZenFone 7は、「Snapdragon 865」と8GBメモリを搭載するハイスペックスマホです。最新世代のハイエンド機なので、日常利用からゲームまであらゆる用途でストレスなく使えるだけの十分な性能があります。
一例として、ベンチマークアプリ「Geekbench 5」でCPU性能を計測してみると、シングルコアスコアは940点、マルチコアスコアは3,447点という結果でした。
「PUBG Mobile」など、重量級のゲームも快適に遊べました。また、「重いアプリ」を使うのはゲーマーやヘビーユーザーだけと思われがちですが、実際には多くの人が使っているTwitterやFacebookなどのSNSアプリも多機能化している影響で年々重くなっています。
ミドルレンジ以下の機種だと、ヘビーユーザーに限らず、普通にスマホを使う中で「立ち上げるのに何秒もかかって遅いな」というアプリは意外と出てきます。ZenFone 7ぐらいのスペックになると、大体のアプリはサクッと起動できますし、「自分はそこまで色々なアプリを使いこなしていないし……」という人でも快適さは実感しやすいはずです。
バッテリーが5,000mAhの大容量というのも見逃せないポイントです。2020年は5Gが始まりましたが、新しい通信方式に対応したばかりの世代の機種は、通信に使うバッテリー消費が増えがちです。だんだんこなれていって省電力になるのですが、4Gや3Gが始まった時も同じでした。
というわけで、5G対応スマホを今買うなら、これまでの買い替え以上に電池持ちやバッテリー容量が重要になります。「前の機種が3,000mAhだったから同じぐらいで大丈夫」と考えるとなぜか持たない、ということが起きやすいのです。ZenFone 7ならその点は安心で、1日中がっつり使える余裕があります。
また、大容量バッテリーでも短時間で充電できるように、ZenFone 7は最大30Wの急速充電(USB PD)に対応しています。
急速充電ができる機種は多いですが、対応する充電器は別途購入しないといけない場合も多いです。ZenFone 7には30Wの急速充電器が付属しており、買った日からすぐに急速充電で快適に使えます。
ZenFone 7のディスプレイ:90Hz駆動で滑らかな表示
スペックの中でも、ディスプレイについて少し掘り下げてみましょう。
6.67インチの大画面で、解像度は2,400×1,080(フルHD+)。色鮮やかな表示に定評がある有機ELを採用しており、フリップカメラのおかげでインカメラが邪魔になることもなく、動画もゲームも死角なしに画面いっぱいで楽しめます。
ハイスペックスマホとしてはそこまで高解像度ではない方ですが、スマホの小さい画面でWQHDや4Kじゃないときれいに見えないということはまずありませんし、一般論として解像度が上がると処理も重くなるので、「速いCPUに高解像度すぎないディスプレイでサクサク動く」という構成は悪くないと思います。
普通のスマホのディスプレイは60Hz駆動ですが、ZenFone 7は90Hz駆動です。これは、映像を1秒あたり何コマで表示できるかを表しており、1.5倍滑らかな表示ができるということになります。
一瞬の遅れが勝敗を分けるようなFPSやバトロワ系ゲームを遊ぶ人はもちろん、普通にSNSやWebサイトなどを見るだけでも「スクロールしながらでも文字がブレずにちゃんと読める」といった細かい部分で使い心地を良くしてくれる機能です。
ZenFone 7のカメラ:フリップカメラならではの撮影モードが楽しい
ZenFone 7の目玉機能といえば、やはりZenFone 6でも好評だった「フリップカメラ」です。
背面のカメラが電動で180度回転してインカメラにもなり、自撮りでも他撮りでも同じ高性能カメラを使ってきれいに撮れます。
そして、フリップカメラの利点は「アウトカメラとインカメラが1つで済む」というだけではありません。たとえばカメラを90度起こした状態で止めれば、しゃがまなくても立ったまま小さいお子さんの目線に合わせて動画を撮れます。
フリップカメラを活かした撮影モードも用意されており、たとえばパノラマ撮影もそのひとつ。
普通はスマホを持って自分が回りながら撮りますが、ZenFone 7ならスマホの位置は動かさず、電動でカメラだけを回転させて安定したパノラマ撮影ができます。手動ではなかなかまっすぐ撮りにくい「縦パノラマ」でタワーなどの高い建物全体を収めることもできますよ。
ほかにも、動画で被写体を自動追尾できる撮影モードなどもあり、フリップカメラならではの個性的な撮影機能を楽しめるのはZenFone 7の大きな魅力です。
カメラ構成はトリプルカメラで、約6,400万画素 F1.8のメインカメラ(広角)、約1,200万画素の超広角カメラ、約800万画素の望遠カメラを搭載します。
まずは画角のチェックから。超広角カメラは景色全体を1枚の写真に収めたい時や集合写真を撮る時などに役立ちます。後ろに下がらなくても大抵のものは画角に収まってしまうぐらいです。
望遠カメラは、メインカメラ(広角)と比べて約3倍の焦点距離となっています。望遠カメラの倍率を2倍ぐらいに設定している機種が多い中、思い切りズームできるのは便利ですね。
発色は自然で、特に気になる歪みもありません。
HDRが効き、影になる場所に止まっている車の色もしっかり出ています。
マクロカメラは搭載しませんが標準カメラでしっかり寄れて、背景のボケも良い感じです。
メインカメラを中心にシーンを変えて撮ってみましたが、ホワイトバランス(青すぎ・黄色すぎ)などの迷いやズレは少なく、オートでちゃんと綺麗に撮れるカメラという印象でした。
機種によってはちょっと色合いが出にくい照明でしたが、温かみのある色でちゃんと美味しそうに撮れました。
こちらも暖色寄りで雰囲気の出た色味です。
HDR(逆光などの明暗差が激しい時の合成機能)の出来も良く、日陰の部分も不自然でない写りになっていますし、色合いがおかしいと台無しになってしまう料理の写真も失敗は少なかったです。難しいことは考えずにカメラ任せで撮れる機種です。
夜景を撮る時には、専用の「夜景モード」があります。数秒かけて暗めの場所でも明るく撮るモードです。
最近のスマホにはよくある機能ですが、実を言うと都会の明るい夜景なら夜景モードを使わなくても十分、使っても変わらないという機種が多いので個人的にはあまり使わない派です。
でもワンポイントアドバイスとして、ZenFone 7では「夜景モード必須じゃない明るさの夜景」でもちゃんと夜景モードを使った方がきれいに撮れました。
上の作例ぐらいだと普通のモードで撮っても暗くはならないのですが、撮り比べてみると夜景モードを使った方が明かりの色が濃く出て華やかに見えます。
おそらく、ただ明るさを増すだけではなくて夜景が綺麗に見えるようなチューニングも同時にしてくれているのでしょう。
レビューまとめ:ZenFone 7のおすすめポイント / 良かった点
ZenFone 7で一番おすすめしたいポイントは「フリップカメラ」です。カメラが回転するという珍しい仕組みでいろいろな面白い撮り方ができ、カメラ自体の写りも前機種のZenFone 6より断然良くなっています。
そして、ZenFoneシリーズとしては初の5G対応機種です。デュアルSIMで使い勝手も良く、5,000mAhの大容量バッテリーで5G対応に伴う電池持ちの不安もありません。最近のハイスペックスマホとしては比較的お値段も手頃なので、5Gデビューに最適でしょう。