HUAWEI P9レビュー!高性能デュアルカメラを搭載したHuawei Pシリーズのフラッグシップモデル
国内SIMフリー市場において、多くのMVNOにて端末が取り扱われるなど強さを見せるHuawei(ファーウェイ)。デザイン性の高さ、機能、そして価格のバランスが取れた製品を展開することが特徴です。
そのHuaweiが今月に発表会を実施。昨年日本にて発売された人気モデルP8 liteの後継となる「P9 lite」、そしてその上位モデルであり、Pシリーズのフラッグシップモデルである「Huawei P9」の発売がリリースされました。
この記事では、日本での発売は初めてとなるPシリーズのフラッグシップモデル、P9についてレビューを行っていきます。
目次:
スペック情報から性能を確認
最初にスペック表でP9の仕様を確認しておきましょう。
HUAWEI P9 | HUAWEI P9 lite | |
---|---|---|
サイズ (高さx幅x厚み) |
約 145.0 x 70.9 x 6.95 mm | 約 146.8 x 72.6 x 7.5 mm |
重さ | 約 144 g | 約 147 g |
OS | Android 6.0 Marshmallow/Emotion UI 4.1 | Android 6.0 Marshmallow/Emotion UI 4.1 |
CPU | Huawei Kirin 955 オクタコア(2.5GHz x 4 + 1.8GHz x 4) | Huawei Kirin650 オクタコア(2GHz Quad-core + 1.7GHz Quad-core) |
内部メモリ | RAM 3GB/ROM 32GB | RAM 2GB/ROM 16GB |
外部ストレージ | microSDカード(最大128GB) | microSDカード(最大128GB) |
バッテリー | 3,000 mAh | 3,000 mAh |
ディスプレイ | 約5.2インチ フルHD(1920×1080)IPS液晶 | 約5.2インチ フルHD(1920×1080)IPS液晶 |
カメラ | メイン:1,200万画素 x 2/サブ:800万画素 | メイン:1,300万画素/サブ:800万画素 |
通信方式 | FDD-LTE:B1/2/3/4/5/7/8/12/17/19/20/26/28 TD-LTE:B38/39/40 W-CDMA:B1/2/4/5/6/8/19 GSM:850/900/1800/1900 MHz |
FDD-LTE:B1/3/5/7/8/19/28 TDD-LTE:B40 W-CDMA:B1/5/6/8/19 GSM:850/900/1800/1900MHz |
Wi-Fi | IEEE802.11 a/b/g/n/ac(2.4GHz/5GHz) | 802.11b/g/n (2.4GHz ) |
Bluetooth | Ver.4.2 with LE | ver.4.1 |
SIMスロット | Nano SIM | Nano SIM |
HUAWEI P9 スペック情報(参照:Huawei製品ページ)
HUAWEI P9 lite スペック情報(参照:Huawei製品ページ)
P9は金属1枚板から削りだしてボディを形成するユニボディ構造を採用していますが、まず特徴的なのがその薄さ。厚みは6.95mmとかなり抑えられており、その結果、重さも約144gと軽く仕上げられています。
OSは、ほぼ最新となるAndroid 6.0 Marshmallowに独自のユーザーインターフェース「Emotion UI 4.1」を組み込み。またCPUに自社製のオクタコアプロセッサを採用しています。
最大の特徴となるのはメインカメラで、有効画素数1,200万画素のカメラが2機並んで配置されています。片方ではRGBの色情報、もう一方ではグレースケールによる白黒での情報を記録しており、これらの情報を合成して1枚の写真に仕上げるといった仕組みになっています。
このカメラ機能については、のちほど実際の撮影例も見ながらチェックしていければと思います。
P9 liteのスペックと比べてみると、カメラ性能、CPUなどP9のほうがスペックが高いことがわかります。
外観デザイン:高級感と薄さ・持ちやすさが魅力
さて、では改めて外観デザインからチェックしていきます。P9では前述のメタルボディに、縁が丸みを帯びた2.5Dガラスを組み合わされています。本体はフラットで四角い板といった印象です。
フロントパネルはツヤのある2.5Dガラスが印象的ですが、サイド~リアパネルは金属素材となります。側面は精巧に磨かれるとともに、柔らかく丸みを帯びた形状に。本体自体はフラットな板状ですが、この側面のカーブによって手にとった際の持ちやすさは非常に好印象です。
リアパネルも磨かれてツヤが消された金属素材。上部に配置された黒い帯の部分にはメインカメラとLEDフラッシュが並び、その横にはLEICA(ライカ)の文字も確認できます。
また中央上部には指紋認証センサーも配置され手に持った際、自然に指が当てられる設計です。
外観を眺めると金属による強さと併せて重さを連想するP9のボディですが、手にとってみると軽いことがとても印象的。サイドフレームのラウンド形状も非常に指あたりがよく仕上げられてます。5.2インチとそこまで大きすぎない本体サイズにより、一般的な男性の手のサイズなら片手操作もなんとかこなせそう。
やはりデュアルカメラという部分に注目が集まりがちなこのP9ですが、正直外観デザインに関してはかなり洗練されており、幅広い人が魅力を感じることができると思います。現在国内で発売されているSIMフリースマホの中では、間違いなく最上級に含まれる1台といえるでしょう。
ソフトウェア:高性能+独自UIによる使いやすさ(EMUI)
P9に限らず、Huawei製のAndroidスマホではEMUI(Emotion UI)と呼ばれる独自のユーザーインターフェースを採用。
一般的なAndroidと比べるとややクセのあるデザインや操作性になっています。ここではソフトウェアやこのEMUIについて、チェックしてきます。
まずEMUIの大きな特徴となるのがアプリドロワー(アプリ一覧)の概念が無いこと。インストールされているアプリはすべて、iOSのようにホーム画面上にタイルのように並べて配置されます。ただウィジェットなども設置できる点は、Androidの特徴も残した部分といえますね。
設定画面も一般的なAndroidとは異なったデザインが採用されています。ただし基本的な機能はもちろん搭載されており、ここにHuawei独自の設定項目がいくつか見られます。
3GBのRAM、32GBのROMを搭載とハイエンド仕様なP9。初期状態ではRAMの約半分が空きスペース、ROMは約4分の3が空きスペースとなっており、こちらも大きく不満は感じないはず。カメラで写真をたくさん取る人は、SDカードでさらに容量を拡張できることも大きいポイントです。
またSIMフリー機として、販売されるP9は別個にSIMカードを購入して使うケースが多くなりますが、プリインストールされているAPN情報は平均レベルといったところ。
その他EMUIでは独自デザインだけでなく、片手での操作を助けるワンハンドUI、フローティングボタンといった便利な機能を搭載。追加でランチャーなどのアプリを入れずとも、元から用意された設定だけで、かなり使いやすくカスタマイズできる点が魅力といえます。
最後に性能の参考として、アプリ「AnTuTu Benchmark」を用いてベンチマークスコアを測定。結果は90,000点台とかなり高く、現在国内で販売されているSIMフリー機の中では文句なしのトップクラスとなっています。
通常のAndroidに慣れている人にはやや変わった印象を与えるEMUIですが、ユーザーの使い勝手を強く意識した機能も多く見られ、Huaweiらしさとしてはアリだと思いました。
またオクタコアプロセッサにRAM3GBの恩恵は大きく、日常使いからゲームなどの遊びまで、全体的にストレスなく使用が可能。
指紋認証:高速かつ様々な使い方をサポート
最近のハイエンド機にて、少しずつ搭載する機種が増えてきた指紋認証。Huaweiでは比較的早い段階からこの機能を搭載する機種をリリースしており、今回このP9に関しても背面にセンサーを搭載しています。
P9の指紋認証センサーは全方位からのタッチに対応。画面消灯時から点灯→ロック解除と進む場合も、指を当てるという1ステップだけで済み、なにより認証速度が速い点はとても便利に感じました。
これだけ便利な指紋認証機能ですが、登録作業は最短で6回指(指紋)を押し当てるだけとかなりシンプル。指紋情報は最大5本まで登録でき、リアパネルというセンサーの配置も考えれば十分な数といえるでしょう。
またP9に関していえば、指紋認証用のセンサーに搭載された機能は認証だけではありません。長押しやスワイプといった操作で、カメラのシャッターを切る、着信に応答する、通知パネルの表示するといったこともサポートしています。
片手で持つことがホームポジションとなり、より操作性の向上にも生きている点はおもしろいですね。
唯一、人によって使いやすさが大きく異なる可能性が高いポイントといえば、P9本体を置いた際には、指紋認証センサーにアクセスできないというところでしょうか。
このあたりは普段から自分がどのような使い方をすることが多いのか(持って使うことが多いのか、置いて使うことが多いのか)を考えて、選ぶことをオススメしたいところ。
カメラ性能:P9最大の魅力。スナップもボケ味も楽しめる
P9の最大の特徴なるのがメインカメラ。ドイツの老舗カメラメーカーLeica(ライカ)との協業により開発されたこのデュアルレンズ構成のカメラでは、赤緑青の色情報、モノクロの階層情報をそれぞれのカメラで記録。その情報を合成して1枚の写真に仕上げることで、鮮やかな色と細部の表現を両立すると謳っています。
また加えて、Huaweiでは非常に多くの撮影モードを用意している点も特徴となります。
この機能を試すべく、早速いくつかカメラテストを行ってみました。ここからは実際に撮影した写真を見ながらチェックしていくことにします。
なおいずれの写真も加工はリサイズのみ。またクリックすれば原寸大の写真を確認することも可能です。
まずは異なるシチュエーションで景色をいくつか撮影。
こちらは夕方前の逆光下の環境において撮影した写真。HDR(ハイダイナミックレンジ合成)はオン/オフではなく、オート/オフしか選択ができなかったのでその旨記載しています。
いずれの写真も画面中央やや下にゴースト(青い点)が発生していますが、それ以外ではHDRオフでも手前のビル群が大きく黒つぶれすること無く撮影できています。
またHDRをオートにすれば、手前のビル群は細部がより明るく記録できており、機能もきちんと確認することができました。
続いては日陰の場所で、通常モードにて撮影。中央左側にならぶ看板、あるいはビルの窓など、細部もきれいに記録できています。
これくらい詳細に記録できればあまり出番のなさそうなズーム機能。こちらもデジタルズームで最大まで寄ってみるとやや粗さはでるものの、スマホのカメラとしてはかなりきれいに撮れている印象を受けました。
HDR機能を使って夜の景色も撮影。左側の電光看板は一部明るすぎて表示が白飛びしているものもありますが、景色全体の雰囲気としては見たままに近く、よくまとまって撮影できました。HDRをオートにすると、より全体の明るさが増していることもわかります。
続いては料理でテスト。
窓際で外から光もあたっていた席で撮影しましたが、オートでもおいしそうに撮影できたと思います。またサラダに関しては、中央(オレンジ)のジュレとその奥のトマトのみずみずしさも見て取れる他、手前のレタスがきれいにボケていますね。
またP9には2つのレンズを生かした「ワイドアパーチャー」という撮影機能も搭載されており、より被写体前後のボケを楽しむ撮影も可能になっています。
この機能は同じHuaweiのHonor 6 Plusなどにも搭載されている機能で、デュアルカメラであるからこその機能といえるでしょう。
なおP9に2つ搭載されるレンズのうち、片側(左側)はモノクロームで階調を記録するカメラとなっており、こちらは塞いだ状態でも写真を撮影すること自体は可能です。
そこで実際に片方のレンズを塞いだ状態、塞がない状態で取り分けてみたものが次の2枚。
撮影環境にもよるかと思いますが、この2枚に関しては筆者の目では主だった違いは感じ取れませんでした。そういった意味では、モノクロのレンズはあくまで補助機能と考えておくべきかもしれません。
P9では他にもデジタル一眼レフカメラのようにISO感度や照度、ホワイトバランスなどを細かく設定できるプロモードも搭載。
さらにシャッタースピードを落とすことで光の軌跡を描く、あるいは複数枚の写真を撮影して合成することでひと味違った写真に仕上げるモードも多く搭載。
P9のカメラに関して総括すると、手軽なスナップ写真から少し凝った多彩な撮影モード、しっかりこだわりたい人のためのPROモードまで幅広くカバー。
また、出来上がりの写真もとてもきれい。色彩と細部の描写も優れており、キャリアから発売されているハイエンドモデルと比較しても、強く魅力の感じられる出来であると感じました。
今回1週間ほど使わせてもらいましたが、カメラだけでも素直に「欲しい」と思えた1台です。
評価まとめ
こだわりが感じられ、また質感もよい外観デザイン。ここにオクタコアの高い処理機能、高速の指紋認証機能を搭載し、何よりカメラがすごい。
すでに大きく話題になっているこのHuawei P9ですが、改めてトータルでも強く魅力の感じられる1台と感じました。国内のSIMフリー市場はこれまでどちらかといえば価格の安いモデルが多かったですが、このP9の登場により、少しまた様相も変わってくるかもしれないですね。
既にMVNOでの取扱いも始まっており、また大手量販店でも販売中のこのP9。筆者個人としてはデザインの魅力はかなり高く感じただけに、ぜひ一度展示機などを手にとって確かめてほしいものです。